50代での妊娠・出産は可能?
結論から言えば、50代で妊娠・出産するいわゆる超高齢出産は医学的見地から見ても論理的には可能です。
しかし多くのリスクを伴うため、かなり稀な例ではあると言えるでしょう。
女性が最も妊娠する確率が高いのは、20歳前後であると言われています。その後30代になると徐々にその確率は下がり、35歳ぐらいからは急激に低下し、40代になるとさらに低下は顕著になります。
そして45歳以上、さらには50代になると、人工受精などを行っても妊娠する確率は極めて低いと言われています。
閉経の10年程前から妊娠確率は非常に低くなると言われている
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女性は生理が止まり閉経を迎えると、排卵も行われなくなるためそれ以降は妊娠できなくなります。
ですから何歳まで妊娠、出産できるかは閉経する時期により異なるということになりますが、実際には閉経の10年ぐらい前から、妊娠する確率は非常に低くなると言われています。
日本人の平均閉経年齢は約50歳と言われており、中には40代前半、遅くても50代後半には閉経を迎えます。
ですから50代で妊娠、出産というのは医学的に見てもリスクの多いレアケースであり、無事妊娠したとしても流産する可能性が非常に高いため注意が必要です。
50代での自然妊娠確率はどのくらい?
45歳以上になると自然妊娠確率は1%程度であると言われており、ですから50代になれば、さらに妊娠確率は1%前後まで下がると予想されます。
ちなみに他の年代の自然妊娠できる確率は、25歳~30歳で25~30%、35歳で18%、40歳で5%となっています。
前述したように女性が閉経するのは40代前半から50代後半ですので、妊娠、出産するのは50代前半くらいが最後のチャンスであると言えるでしょう。
妊娠・出産には子宮年齢も関係が
実は女性の子宮には、実際の年齢とは異なる「子宮年齢」があると言われています。
例えば50代であっても子宮年齢が38歳くらいであれば、妊娠や出産の可能性は高くなります。
しかし40歳でも子宮年齢が50代であれば、それらの可能性は当然低くなり逆にリスクは高くなります。
このように、各々の子宮や女性ホルモンの状態などは人により著しく異なるため、何歳まで妊娠、出産できるかを判断するのは容易なことではないと言えるでしょう。
体外受精にも限界がある
仮に病院で体外受精を行ったとしても、妊娠する確率は30歳前半は40%、35歳で36%、40歳で25%、45歳で7%となっており、35歳頃から妊娠率は急速に低下し始めます。
また年齢を重ねると卵子も老化するため、人工受精しても受精卵がうまく育たなかったり、着床しづらくなるというリスクも高くなります。
またたとえ妊娠したとしても、何度も流産を繰りしてしまう不育症になるなど、やはり20代や30代の妊娠と比べ不安要素が多いと言えます。
50代での妊娠確率を上げる方法
50代での妊娠確率を上げる方法をご紹介します。
50代での妊娠確率を上げる方法①自分の生理周期を把握しておく
50代で妊娠の確率を上げるためには、毎日基礎体温を計るなどして、自分の生理周期をきちんと把握しておくことが重要です。
理想的な生理周期は28日と言われており、あまり短いと排卵が正常に起こっていない可能性があり、逆に長すぎると無月経になる場合があるため注意が必要です。
排卵日が終わると、黄体ホルモンの影響で高温期に入ります。一般的な高温期の長さは14日と言われており、あまり短いと黄体機能不全を起こしている可能性があります。
黄体機能不全になると、受精卵が着床がうまくできなくなってしまう可能性が非常に高くなります。
またたとえ着床し妊娠しても、流産するケースがあるためくれぐれも気をつけましょう。
基礎体温を計っても高温期が確認できないという場合は、排卵がうまく行われていない可能性が高いため、産婦人科医に相談するようにしましょう。
50代での妊娠確率を上げる方法②自分の適正体重を維持する
体脂肪率BMIは、体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で計算することができます。
50代での妊娠確率を上げるためには、不要なリスクを避けるためにも太り過ぎでもやせ過ぎにも注意して、理想の体脂肪率22の周辺、だいたい18.5~25を目標にするようにしましょう。
そのためには、バランスのいい食生活を心がけることも大切です。
50代での妊娠確率を上げる方法③適度な運動をする
適度な運動はホルモンのバランスを良くすることが期待でき、順調にホルモンが分泌されれば、50代でも妊娠確率をアップさせることができます。
ですから無理のない範囲で、20分程度の軽い運動やストレッチなどを生活の中に取り入れましょう。
また定期的に身体を動かすことは、出産に向けた体力作りにも役立ち難産のリスクを軽減させます。
運動すれば血流が促され、卵巣まで十分な栄養を運ぶことができるため、受精率や妊娠率の低下を抑制することにもつながります。
50代での妊娠確率を上げる方法④質のよい睡眠を取る
50代で妊娠するためには、質のよい睡眠を取ることもとても大切です。質のよい睡眠は、女性ホルモンの分泌させ妊娠しやすい身体にしてくれます。
またホルモンが正常に分泌されれば血流が良くなり、子宮や卵巣の動きも活発にしてくれます。
ですから毎日最低でも6時間以上は睡眠を取るようにしましょう。
50代での妊娠確率を上げる方法⑤禁煙する
実はタバコに含まれるニコチンは、受精卵の着床を妨げ、妊娠しづらくすると言われています。
また喫煙は血行不良を起こす原因となり、血流が悪くなると卵巣まで十分な栄養が届けることができず、卵子の発育不良などのリスクを招く可能性があるためくれぐれも注意しましょう。
もし50代で妊娠、出産を望むのであれば、まずは禁煙することをおすすめします。
50代での妊娠確率を上げる方法⑥コーヒーや飲酒を控える
妊娠中にコーヒーを飲んだり飲酒したりすると、胎児の発育不良のリスクが高まる原因になると言われています。
またコーヒーは体を冷やし、アルコールはホルモンバランスを崩す引き金になる可能性があるため、50代で妊娠を望むのであれば控えた方がよいでしょう。
50代で出産をすることによるリスクとは?
50代で出産をすることによるリスク①流産のリスク
流産の原因は人によりさまざまですが、妊娠初期の流産の多くは受精卵の染色体異常によるものであると言われており、自然流産は妊婦の15%程度に起こるというデータもあります。
特に40代後半や50代の妊娠は卵子に染色体異常が起こりやすく、さらに流産する確率が高くなると言われています。
50代で出産をすることによるリスク②妊娠⾼⾎圧症候群や妊娠糖尿病のリスク
妊娠中に高血圧となり、血管や内蔵に何らかの異常が生じる妊娠高血圧症候群と、血糖値が上がる妊娠糖尿病は、40代や50代など高齢の妊婦の方が発症する確率が高いことが分かっています。
これは年齢を重ねたことにより、血管にかかる負担が大きくなったり、糖の代謝能力が弱まるために発症しやすくなると思われます。
50代で出産をすることによるリスク③常位胎盤早期剥離のリスク
胎児が子宮内にいる間に、胎盤から子宮が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離は、胎児の発育に悪影響を及ぼしたり、最悪母子ともに死亡する場合もある大変恐ろしい症状です。
やはりこちらも、高齢の妊婦の場合発症のリスクが高くなります。
50代で出産をすることによるリスク④難産のリスク
出産日が近づいてくると、子宮から胎児を出しやすくするため、子宮頸部が少しずつ軟らかくなり産道も広がりやすくなります。
しかし高齢出産の場合は、軟らかくなるまで時間がかかるケースがあるため注意が必要です。
またなかなか陣痛がこない、もしくは微弱陣痛など、難産になるリスクが高いと言われています。
50代で出産をすることによるリスク⑤ダウン症などの先天性異常のリスク
ダウン症は染色体の先天性異常により発症します。染色体は通常2本で1組にになっていますが、ダウン症の場合は、21番目の染色体が3本あるという特徴があります。
発症の原因ははっきり解明されていませんが、高齢で妊娠し出産する場合は卵子が老化し、受精卵に染色体異常が発生するリスクが高くなることと関わりがあると考えられています。
50代での妊娠・出産を目指す方へ
超高齢出産とも呼ばれる50代での妊娠・出産は、妊娠中や出産時、また母体や胎児にもさまざまなリスクが伴うことをしっかり理解しておかなければなりません。
しかも出産は決してゴールではなく、そこから大変な育児が始まります。ですから子供が一人前になるまでのことを考え、それまで自分が健康で子育てができるのか、また経済的なことなども夫婦できちんと話し合っておく必要があるでしょう。
また産婦人科医など専門医とも相談し、妊娠・出産に伴うリスクや、万が一体外受精を行う際の費用の面などもしっかり考えておくことが重要です。