いきなり離婚を考えるのはあまり良くない
パートナーとの関係が上手くいかず、離婚を検討する方がいますが、いきなり「離婚」という選択肢を選ぶことはおすすめしません。
というのも、パートナーとの関係が破綻している中で、一緒に相手と暮らすことで、お互いイライラしたり、過度なストレスを感じたりと、冷静に物事を判断できる状況にないことが多いからです。
そのような中、離婚という決断を選択し、相手と離れてから気持ちが落ち着き、「やっぱり元に戻りたい」と思っても、手遅れであることが多いのです。
このような事態を避けるために、離婚を決断する前に、「別居」という選択肢をとることをおすすめします。別居することでお互い一度距離を置いて、今後について冷静に考えることで、より良い決断を下すことができますよ。
離婚前に別居をすることの必要性とは
パートナーとの関係にうんざりしていると、どうしても「早く離婚したい」と先走ってしまう方もいますが、こちらにて離婚前に別居することの必要性について追及していきます。
離婚前に別居をする必要性①:離婚を真剣にイメージすることができる
別居することで、具体的な離婚後の生活をイメージしやすくなります。実際に相手と離れて、どのような生活になるのかや、生活費はどれくらいになるのかとリアルな現実を体感することができるのです。
実際に離れて生活してみないと、頭の中だけではイメージできないことがたくさんあります。離婚後の生活をシュミレーションするという意味でも、別居は離婚前にすべき大切なことのひとつなのです。
離婚前に別居をする必要性②:離婚後の準備を始められる
別居をすることで、具体的に離婚後の準備を始めることができます。具体的には、離婚後の住まいや仕事探し、お子さんがいて離婚に伴って転校などが必要ならば転校の準備なども必要になります。
何の準備もできていないまま、離婚が成立し、急に自分一人での生活を始めては、多くの困難を共にします。離婚を前向きに考えているのであれば、別居中に情報収集を始めておきましょう。
離婚前に別居をする必要性③:気持ちの整理が付く
別居をすることで、あなたの気持ちを整理することができます。一緒に生活をしていると、ついイライラしたり、ストレスを感じたり、冷静に物事を考えたり、判断することが難しい環境にあります。
しかし、別居することで、自分一人の時間を作ることができ、これまでの生活を冷静に見つめなおすことができます。「離婚」は人生において、大きな決断のひとつです。そのため、時間をかけて考え、冷静な判断がとても重要になりますよ。
別居をすべきケース
離婚する・しないに関わらず、別居をするかしないかで悩んでいるのであれば、以下の場合は別居を前向きに検討しましょう。
以下状況の中、もしあなたの方から出て行き別居しても、今後の離婚協議において不利になる可能性は低いですよ。
別居をすべきケース①:DVを受けている
あなたのパートナーから耐えきれないほどの肉体的な暴力(ドメスティック・バイオレンス)や精神的な苦痛(モラル・ハラスメント)などを受けている場合は、避難をするという意味でもすぐさま別居を検討しましょう。
こうした相手の行為は、徐々にエスカレートする傾向にあり、どこかで歯止めをかけないと、命の危険に及ぶ場合もあります。
別居や離婚において不安なこともたくさんありますが、あなたの身の安全が一番大切です。悩んだ時には、専門家や家族に相談するのも一つの手です。第三者の力を借りて、スムーズに別居の準備を始めて下さい。
別居をすべきケース②:相手の不貞行為が発覚
相手の不倫行為が発覚した場合は、不倫された方は傷つき、精神的なダメージを大きく受けます。その場合は、あなたの心を癒すためにも、別居が必要です。
また、こうした場合は、不倫行為をした側に原因があるので、不倫をされた側の立場は法律上守られることになりますので、安心して下さい。
別居をして、あなたは相手を許せるのか、それとも離婚するのか、納得のいくまで考えてみましょう。
別居をすべきケース③:借金を作れた
あまりにも多額の借金を作られ、経済面はもちろん、悪質な取り立てにより生活面に悪影響を及ぼす場合は、平常心で一緒には暮らしていられないはずです。
このような場合は、騒動が落ち着くまで別居をすることをおすすめします。
また、パートナーの収入で生活をしていたが、借金やギャンブルなどの原因で生活費が入ってこなくなり、生活に困窮し始めた場合も同様です。別居を視野に入れて、何らかの対策を考えるしかありません。
別居のメリット・デメリットについて
ここまで別居の必要性や別居をすべきケースなどについてご紹介してきましたが、別居について前向きな印象をもたれ始めた方も多いのではないでしょうか?
しかし、別居を決断する前に、知っておきたいのが別居のメリットとデメリットです。そこでこちらでは、代表的な別居のメリット・デメリットについてご紹介します。
別居のメリット①:気持ちの整理ができる
別居のメリットのひとつとして、「気持ちの整理が付く」があげられます。別居をすることで、お互いしばらく会う必要がないため、気持ちを落ち着かせ冷静に今後の生活や離婚について考えることができます。
一緒に住んでいると、どうしてもお互いイライラしてしまったり、口論になってしまったりと、冷静な判断ができず、お互いの意見を交換することができません。これでは、ただ時間ばかりが経過し、何も始まりません。
そのため、別居することで、お互い一人の時間を作ることができ、気持ちを整理させることができるのです。
別居のメリット②:関係を修復できる
別居期間というのは、お互い気持を整理し、頭を冷やす期間であります。つまり、この期間に、離婚するのか、一緒に生活をするのかよく考えることができるのです。
また、この別居期間中は、もちろん離婚はまだ成立していないので、また戻りたいと思えば、いつでも戻ることができますよ。
一緒に生活をしていた時は、口論ばかりで冷静になることができない場合がほとんどですが、別居して冷静になることができ、お互いの悪い点を認め、解決策を見出すことも可能です。
別居というのは、永遠の別れを意味するのではなく、また戻りたいと感じたときにいつでも戻れる猶予期間でもあるのです。
別居のメリット③:自分一人の時間を作れる
続いてご紹介する別居のメリットは、「自分一人の時間を作れる」ことです。相手と一緒に生活をしていると、なかなか自分一人になれる時間を作ることは難しいのが現状です。
しかし、別居をすることで、相手とは離れて生活ができるため、これまで以上に一人の時間を作ることができ、自分自身と向きあったり、今後について冷静に考えることができます。相手と揉め事が色々とあり、このような状況になってしまったことは言うまでもありません。
自分一人になることで、頭の中をリセットさせて、最善の解決策を見つけ出してください。
別居のメリット④:相手が改心することがある
最後のメリットは、別居することで相手が「改心する」場合があることです。離れてみることで、何よりお互いに冷静さを取り戻すことができます。
そのような中、パートナーに非があってあなたが出ていった場合、あなたのことが必要であるあまりに、パートナーは自分の非を認めて改善につとめるケースがあります。その時、あなたがどのような決断を下すかは、もちろんあなた次第です。
別居することのメリットをご紹介しましたが、別居には良いことばかりではなく、もちろんデメリットもあります。
下記にて、注意深くみていきましょう。
別居のデメリット①:金銭面
別居のデメリットとして最初にあげられるのは、「金銭面の問題」です。というのも、これまで一緒に生活していたのが、別居をすることで住まいは2つ光熱費ももう一軒分、食費は別と明らかに一緒に生活をしていた時以上に、お金がかかることは言うまでもありません。
人間が生活するうえで、それなりのお金がかかることは避けられないのです。そのため、別居前に、ある程度の別居にかかる費用を掴んでおく必要があります。
安易な気持ちや十分な情報収集をする前に別居を始めてしまうと、後で痛い目に合います。離婚だけではなく、別居にも冷静な判断が必要なのです。
別居のデメリット②:子供のケア
別居の最大のマイナス点ともいえる「子供のケア」。夫婦の別居や離婚で一番被害を受けるのは、お子さんです。両親の別居や離婚で傷つくお子さんもたくさんいますし、不安を抱くお子さんももちろんいます。
そのため、子供のことを最大限に考えたケアやアフターフォローを怠ってはいけません。別居や離婚は、夫婦間の問題だけではなく、子供を含めた家族全体の問題であることを忘れないでください。
別居のデメリット③:困難な証拠集め
別居してしまうと、相手の浮気の証拠や、相手がどのような財産をもっているかなど、これらの情報を調べることが同居している時よりも難しくなる可能性があります。
離婚を前向きに考えているのであれば、このような情報収取が難しくなるのは大きなデメリットともいえます。そのため、別居する前に、最悪の自体を考慮して、浮気の証拠や財産の情報など、できるだけ集めておくことをおすすめします。
別居をする際に気をつけること
上記にて別居のメリット・デメリットについてご紹介しました。
こちらでは、別居をする際に気を付けることについて述べていきます。別居を検討している方は、ぜひ下記の内容を参考にしてみて下さい。
別居をする際に気をつけること①:別居にかかる費用
別居をするうえで、まず気を付けてほしいことは「別居にかかる費用」です。
別居するということは、これまで一緒に住んでいた住まいが別々となるため、家賃や生活費がこれまでのほぼ2倍になるともいえます。
また、別居をスタートするにあたり、どちらか一方が家をでる必要があるので、引っ越し代や新しい家具代などもかかります。そのため、安易に別居を決断するのは危険です。あらかじめ、別居にかかる費用の見積もりを立て、計画的に資金を調達する必要があります。
別居したいというただの願望では、別居は簡単にできないのです。別居や離婚を検討しているのであれば、それらが現実になる前に、コツコツと資金をためておくことをおすすめします。
お金無しに別居は成立しないということをよく頭に入れてい置いてくださいね。
別居をする際に気を付けること②:子供をどちらが引き取るか
別居や離婚を考えるうえで、子供をどちらが引き取るかというのは重要な問題になります。
既に上述しましたが、別居や離婚は夫婦間のみの問題ではなく、子供を含めた家族みんなの問題なのです。子供にとってどちらが引き取った方が良いのかということを考えつつ、子供の意見に耳を傾けることも大切です。
また、現実的な問題として、子供を自分一人で引き取るだけでの金銭的余裕があるのかや子供をケアするための十分な時間を確保できるのや子供の学校のことも考える必要があります。
難しい問題だけに、お互い満足のいく結論を出すことは非常に難しいです。そのため、子供の立場になって、少しでもお子様にとってベターな解決策を見出すことが大切になります。
別居をする際に気を付けること③:相手の収入や財産を把握する
別居をしても、法律上夫婦でいる間は、収入の低い方が高い方に「婚姻費用」を請求できるのをご存知でしょうか?
婚姻費用の金額は、夫婦それぞれの収入によって決まるため、相手の収入がわかる資料があると、調停で婚姻費用の請求をする場合にスムーズに進めることができます。
また、離婚の際には、夫婦がその共同生活の中で築いた財産を互いに分け合う「財産分与」を行います。
しかし、相手がどこに預金をもっているのか、どんな財産をもっているのかなど、知らないという方も少なくありません。
調停や裁判で、相手に開示請求することもできますが、あらかじめこういった情報を把握していることで、財産分与の手続きもスムーズに進むことがあります。
別居をする際に気を付けること④:浮気の証拠を把握しておく
もし相手の浮気が原因で別居・離婚となり、相手に慰謝料などを請求したいと考えているのであれば、確保できる証拠を別居前に確保しておくことをおすすめします。
例えば、相手が浮気をしている場合には相手のスマホやメール、PCなどをチェックして怪しい点がないか探してみましょう。また、電話の履歴やクレジットカードの利用明細書、相手が置き忘れているメモ類などもチェック出来ます。
相手が浮気を認めない場合、浮気の事実を立証する義務があるのは、あなたにあるのです。
別居すれば、同居の時よりも相手の行動を把握するのは難しくなるのはいうまでもありません。別居前に、収集できる証拠は収集しておくことが大切ですよ。
別居をする際に気を付けること⑤:別居の期間
別居をする場合は、「別居の期間」にも注意が必要です。
というのも、あなたが有責配偶者(*有責配偶者とは、不倫をしたりDVをはたらいたりした配偶者のことで、抽象的にいえば、自ら法定離婚事由をつくった配偶者のことをいいます。)ではない場合は、有責配偶者の場合に比べて、別居期間が短い期間で離婚が認められるからです。過去の裁判例を見てみると、5年が一つの目安となっています。
つまり、あなたが優遇配偶者でないのであれば、5年間別居を続ければ、離婚が成立する場合があるということです。
しかし、5年間別居を続けたからと言って、個人の状況により離婚が認められるかどうかは異なるため、詳しくは弁護士に相談してみることをおすすめします。
別居をする際に気を付けること⑥:相手に不貞行為がある場合は別居すると立場が不利になる
パートナーが不貞行為をしていたことを理由に、慰謝料請求して離婚したい場合は、別居をしてしまうことで「もともと夫婦関係は破綻していたもの」とみなされ、慰謝料請求が不可能になることがあります。
あくまでも不貞行為による慰謝料請求は、夫婦関係が破綻しておらず、一方的に裏切られたという場合のみ認められます。
さらに、その不貞行為の証拠が何もない場合は、仮に離婚裁判になった時に口頭で「あなたが浮気したから別居に至ったのだ」と発しても、何の効力も持たないということを覚えておきましょう。
別居をする際に気を付けること⑦:別居中に財産を処分されないようにする
別居をしていると、相手が勝手に自宅や預金を処分し始めたり、生活費を渡さなくなったりするなどの行為に出てくることがあります。
しかし、仮に相手名義の財産であっても、別居中でまだ離婚をしていない状態では夫婦の共有財産となります。
それを保全したい場合は、家庭裁判所に仮差し押さえや仮処分の申し立てをする必要があります。別居する前に検討してみて下さい。
別居をして、自分たちがどう進むべきか判断しましょう
今回は、別居の必要性やメリット・デメリットについてご紹介しました。
離婚を決断する前の猶予期間として、別居をするのはとても大切なことです。
別居をすることで、金銭面や子供のケアなどデメリットもありますが、お互い一度離れることで、冷静に考えることができます。離婚を検討しているのであれば、最終決断を下す前に、一度別居してみてはいかがでしょうか?
別居をしている間、自分たちがどういう方向へ進むべきか冷静に判断しましょう。