更年期に胃痛が起こる原因とは?
そもそも更年期とはどういうものなのでしょうか?
更年期とは、閉経前後の約10年間に起こるもので、女性ホルモンの分泌減少によって体調の不調や異変が出てきます。平均的には40代後半~50代ぐらいの間が更年期の期間とされていますが、近年では30代でも更年期の症状を訴える人が増えています。
更年期の症状には様々なものがありますが、胃痛を起こす原因と言われているのが自律神経の乱れです。女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減ると、自律神経にも影響が出てきます。
自律神経の乱れの影響
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自律神経には胃酸や胃の働きをコントロールする働きもあるため、その自律神経が乱れると正常に胃が働かなくなってしまいます。そのため、更年期になると胃痛の症状が出てくるということになります。
よくストレスで胃痛を訴えることがありますが、これも自律神経の乱れが影響しているんですよ。
更年期になると今までのように体が動かなかったり、心がついていかないことがストレスになりさらに胃痛の症状を悪化させることもあります。
更年期の胃痛の具体的な症状について
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胃痛といっても、全員が同じ痛みを発症するわけではありません。胃痛にもいろいろな痛みや症状があり、主に次のような胃痛の痛みや症状があります。
・胃全体が重たく感じる、ずしんとした重みを感じる痛み
・胃が心臓のように脈を打っているように感じるズキズキとする痛み
・胃を鋭いもので突かれているようなチクチクする痛み
・胃をギューッと掴まれたような圧迫感や締め付けを感じる痛み
・胃(みぞおち部分)を殴られたような痛み
胃の場合、痛みだけではなく不快感や膨満感といった不調も出てきます。不調が続くと痛みに繋がることもあるので注意しましょう。
更年期の胃痛の対処・改善方法
胃痛が出てくるとすぐに胃薬に頼ってしまいますが、更年期からくる症状の場合は胃薬の効果が感じられないこともあります。また胃薬や鎮痛剤を飲み過ぎると、胃痛をさらに悪化させることもあるので飲み方には注意が必要です。
胃痛が出た時は、あまり動かず胃や腹部を温めて様子をみましょう。更年期の胃痛は血流の悪さから来る場合もあるので、温めることで症状が緩和することもあります。
また、胃痛を起こさないための対処・改善法もあります。
胃痛を起こさないための対処・改善法
・早寝早起き、適度な運動を心掛けて規則正しい生活をする
・消化の悪いものはなるべく食べない
・食事は腹八分目にする
・食後はゆっくりする
これは更年期に限らず、胃痛が出やすい人や胃痛を改善させるために役立つことです。更年期の症状で出る胃痛も、胃に負担をかけないようにすることが大事です。
更年期の胃痛は病院で治療できる?
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胃痛の症状が出ると、内科に行って診察を受けて検査をしたり薬を処方されます。
更年期から来る胃痛の場合、「更年期だから」と婦人科に行って胃痛の治療ができるかというと、そうではありません。病院によって違いはありますが、まずは内科で胃の状態を診察してもらうこともあります。そこで胃に異常がない場合は、更年期の胃痛の可能性があるため、婦人科で治療をします。
治療は主に3つがあります。
更年期の胃痛の治療①投薬による治療
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1つめは、更年期のイライラや気持ちの落ち込みが激しい場合は「抗不安薬・抗うつ剤」を処方されることがあります。その前に問診を受け、カウンセリングで様子を見ていくのか、それとの抗不安薬や抗うつ剤を処方してイライラや気持ちの落ち込みを改善していくか決めていきます。
抗不安薬や抗うつ剤は症状が治まったからと自分で止めることはできません。そのため、処方される場合は医師としっかりと相談する必要があります。
更年期の胃痛の治療②漢方薬で緩和する
2つめは、胃痛だけではなく更年期の症状自体を漢方薬で緩和していくという方法です。漢方薬も自分に合ったものを選ばないと効果が得られない可能性があるので、ドラッグストアで購入するよりカウンセリングを受けて病院で処方してもらうようにしましょう。
更年期の場合、下記のような漢方薬が主に処方されます。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
・五積散(ごしゃくさん)
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
それぞれ、体力や特に気になる更年期の症状などによって処方される漢方薬は変わってきます。
更年期の胃痛の治療③ホルモン治療法
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3つめは、胃痛だけではなく更年期の症状自体が重い時に行う「ホルモン治療法」です。
ホルモン治療法は、女性ホルモンの成分を体内に充填するという方法で、内服薬やパッチ薬を使います。女性ホルモンを体内に充填することで、更年期の症状を改善していくことができます。
胃痛はもちろんですが、その他の症状も緩和されるので体の状態も良くなると治療を受ける人も増えています。
他の原因が隠れている場合もあるので注意が必要
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実は更年期の症状以外でも胃痛を引き起こす原因には次のようなものがあります。
更年期以外で胃痛を引き起こす原因①逆流性食道炎
1つめは逆流性食道炎です。胃は年齢とともに動きが衰えていきます。40代を過ぎた頃になると男女関係なく逆流性食道炎を起こす人が増えてきます。逆流性食道炎は胃液などが逆流することで胸やけやげっぷ、胃痛や食道の痛みを引き起こします。逆流性食道炎の原因には次のようなものがあります。
・早食い、食べ過ぎ
・お腹が大きい(肥満、妊娠)
・消化の悪いものの食べすぎ
若い頃は大丈夫だったことも年齢とともに胃の動きも悪くなるので注意が必要です。
更年期以外で胃痛を引き起こす原因②機能性ディスペプシア
2つめは機能性ディスペプシアです。胃の調子が悪く診察をしてもらっても原因が分からず、特に異常を発見できなかった場合は、機能性ディスペプシアの可能性が高いです。機能性ディスペプシアの原因は自律神経の乱れが原因と言われています。
更年期以外で胃痛を引き起こす原因③胃にピロリ菌が生息している
3つめは胃にピロリ菌が生息している可能性があることです。ピロリ菌は胃の粘膜を傷つけるため、胃痛を引き起こす原因となります。
ピロリ菌は胃痛を引き起こすだけではなく、他の病気に繋がる危険因子でもあります。胃痛の際、病院によってはピロリ菌検査をして、胃にピロリ菌がある場合は除去剤でピロリ菌を取り除く治療を行います。
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更年期以外で胃痛を引き起こす原因④胃潰瘍
4つめは胃潰瘍です。胃潰瘍は胃酸によって胃の粘膜が傷ついて起こる症状ですが、健康な胃は胃酸から守る粘膜が分泌されて胃を保護しています。その粘膜が正常に分泌されなくなると胃の保護がうまくできなくなります。また、胃酸過多になると粘膜では保護しきれなくなり胃を傷つけてしまいます。
胃潰瘍は胃痛だけでなく、症状がひどい場合は胃から出血を起こすこともあります。
更年期以外で胃痛を引き起こす原因⑤胃がん
5つめは胃がんです。胃がんの症状が不快感や胃痛、膨満感といった更年期や胃潰瘍の症状に似ているため、気づくのが遅れるというケースもあります。胃痛の症状がある時は更年期と重なっていても内科で先に診察を受けたり、定期的に胃がん検査を受けて早期発見する必要があります。
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更年期以外で胃痛を引き起こす原因⑥周辺臓器の病気
6つめは胃ではなくその周辺臓器の病気です。胃が痛い、不快感がある時に胃を調べても何も異常がないことがあります。その際、血液検査やエコーといった検査を受けると胃の周りの臓器に異常が見つかることもあります。
特に胃に症状が出やすい臓器が次のようなものです。
・肝臓
・膵臓
・胆のう
上記の臓器は症状がほぼ出ないので、病気があってもわかりづらい部分でもあります。
胃痛の症状をしっかり確認し、早めのケアを
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「更年期の症状が出る年齢だし、きっとこの胃痛も更年期から来ている症状の1つ」と自分で勝手に解釈していると、実はその胃痛は更年期の症状ではなく他の原因が隠れている可能性もあります。
胃痛の場合、胃だけではなく他の要因で痛みが出ている可能性もあるので気を付けなければいけません。
自身の症状をきちんと把握し、早めのケアを心がけましょう。