冬の寒さと自律神経には深い関わりがある
“冷え”を感じる原因が身体の「自律神経」の働きが関係しているのはご存知ですか?ご存知の方も多いと思いますが、「自律神経」のケアを実践している方って少ないんですよ。
実は冬の寒さや秋の異常気象が、“冷え”の根源となる 「自律神経」の乱れに影響を及ぼすと考えれています。 『自律神経』は、 血管を収縮させる働きをする『交感神経』と、 血管を拡張する働きをする『副交感神経』から成り立っており、 人は1日の中で、両者の働きをバランスよく切り替えることで、 全身の「血めぐり」が良くなり、体温を正常に保つことができます。
『自律神経』のバランスが乱れ、血めぐりが悪くなると “冷え性(冷え症)”を引き起こしてしまいます。 『交感神経』と『副交感神経』の活動リズムを整える、すなわち“交副(こうふく)リズム”を整えることが大切になってきます。
交副リズムを整えるポイントとは?
交感神経と副交感神経の適度な切り替えタイミングを知りましょう!
“乱天候冷え(らんてんこうびえ)”の改善には、 血管は収縮しすぎず、かつ、弛緩しすぎないという中程度の状態を保つことが一番です。そこで、日ごろから血めぐりをよくして、 1日の生活の中で、交感神経と副交感神経のバランスを整える、 すなわち“交副リズム”を整え、適度な緊張とリラックスという バランスの取れた状態にすることで、“乱天候冷え(らんてんこうびえ)”を克服しましょう。
1日のうちに交感神経が優位な状態が長時間続くのを避け、1日の間に何度か副交感神経を優位にする時間を確保することが大切です。お仕事中は難しいかもしれませんが、お昼休憩にはきちんとリラックスする時間を取る等、上手に切替ていきましょうね。
例えば、朝の目覚めにはジョギング・散歩・ストレッチ・ヨガ、昼の疲れには目元の温め、夜は入浴・軽めのストレッチやヨガが効果的ですよ。
冬の寒さで自律神経が乱れてしまう原因とは?
冷えは全身の巡りを悪くして不調を引き起こしてしまうんです。 東洋医学には、人間の体を構成する要素として 「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の3つがあるという考え方が存在します。
冷えはこの3要素それぞれにトラブルを引き起こします。
冬の寒さで自律神経が乱れてしまう原因①「気」のトラブル
「気」は生命のエネルギー源です。冷えが蓄積すると気の停滞や逆流が起こり、 のぼせや不眠などの体の症状をはじめ、イライラ、憂うつ、落ち込みなど 精神的な不調も生じやすくなります。
特に体の不調は感じないのに気分が落ち込んだりするときは、「気」のトラブルの可能性がありますよ。
冬の寒さで自律神経が乱れてしまう原因②「血」のトラブル
「血」は血液の循環を表します。冷えによって血流が悪くなると、手足の冷えや肩こりなどの症状が起きやすくなるほか、 月経痛や不妊症、不正出血など婦人科系の不調も引き起こす要因になります。
冬の寒さで自律神経が乱れてしまう原因③「水」のトラブル
「水」は体内の水分の代謝を表します。冷えによって体内に余分な水分がたまったままになると、 めまいや頭痛、耳鳴りが生じやすくなり、 食欲不振や吐き気など消化器系にも不調が出やすくなります。
冬の寒さによる自律神経の乱れを防ぐためにできることは?
冬の寒さによる自律神経の乱れを防ぐためにできることは何でしょうか?詳しくご紹介します。
冬の寒さによる自律神経の乱れを防ぐために①体の外から冷やさない
首の後ろ、おなか、足首を冷やさないよう気をつけましょう。 足の冷えがひどい場合は、5本指の冷え取りソックスなども有効です。特に3つの首と呼ばれる「首」「手首」「足首」は重点的に温めてくださいね。
冬の寒さによる自律神経の乱れを防ぐために②体の中から冷やさない
暑いときでなくとも、 不調を感じているときは冷たいものはできるだけ控えましょう。その冷えに対抗するために、カラダをよくする食べ物を摂取しましょう。
日頃からポカポカ体質にするために、日頃の食生活から見直しては?
ここで紹介する食品は、血液の流れをよくする、血液サラサラ効果のあるものです。 血行のいい体質になって、ツラい冷えから解放されましょう。
▼DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)
血液をサラサラにする!と言えばコチラ。
DHAやEAPは、「青魚」に多い成分です。
血液を固まりにくくし、悪玉コレステロールを減らす効果があります。
≪多く含まれる食品≫ ・イワシ ・マグロ ・ウナギ
▼食物繊維
食物繊維は、さまざまな効果で体の調子を整えてくれます。
腸内環境を良くし、代謝機能からくる冷えを改善し、血液をサラサラにする作用もあります。
≪多く含まれる食品≫ ・豆類 ・栗 ・きくらげ
▼クエン酸
疲労回復効果で、知られているクエン酸。
血流を大きく改善し、血小板凝集を抑える作用が高いと言われています。
≪多く含まれる食品≫ ・レモン ・梅干し ・黒酢
▼オレイン酸
オレイン酸は、 動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールだけを低下させる働きがあります。
ただし、高カロリーなので摂取しすぎない等の注意が必要です。
≪多く含まれる食品≫ ・オリーブオイル ・菜種類 ・ナッツ類
冬の寒さによる自律神経の乱れを防ぐために③冷えた体を温める
最も簡単に、かつ効果的に体を温めることができるのが入浴!自分が気持ちいいと感じる温度の湯船にざっと浸かるだけでもよいです。普段シャワーだけという人は、これを機に湯船につかる入浴を心がけてくださいね。
無理に長く浸かろうとするとのぼせを引き起こすこともあるので、 自分の体に負担のない入浴法を続けましょう。
冬の寒さによる自律神経の乱れを防ぐために④冷えない体をつくる
下半身の筋肉を鍛えることで、冷えにくい体に近づけましょう。筋肉量が多いと体内の代謝や熱生産量が高めることができます。そして筋肉の約7割が下半身に集中しています。
お勧めはスクワットですが、普段運動をしていない人には少しきついですよね。そんな時は、家事や歯磨きのときなどにつま先立ちをするだけでも効果がありますよ。
買い物などで出かけるときには、できるだけ早歩きするのも有効☆ ぜひ毎日続けてみてください。
冬の寒さによる自律神経の乱れを防ぐために⑤リラックスタイムの確保
さらに大事なポイントとして、 精神的なストレスや緊張をできるだけ和らげるようにするということです。バランスを乱す要因の一つが、過度のストレスや緊張です。活動中やストレス、緊張を感じるときに活性化する交感神経が優位な状態が続くことで 睡眠の質が低下し、血流が悪くなってますます冷えやすくなるという 悪循環が生まれるのです。
ストレスなんてたまっていないと自分では思っていても、 夜中に何度も目が覚める、眠りが浅いなどの症状があるなら、 自律神経が乱れているサインと考えて間違いありません。
心身を鎮静状態に導く副交感神経が優位な状態にスムーズに切り替えるためには、眠りにつく前に十分にリラックスすることが効果的です。ロマなど心が安らぐ香りを楽しむ、ストレッチをして全身をほぐす、ゆっくり体を温めるなど方法はいろいろあります。自分に合ったリラックス法を見つけ、ぜひ日課にしましょう。
自律神経の乱れを放っておくとどうなる?
自律神経失調症を放っておくと思わぬ病気に発展したり、他の症状を引き起こしてしまう可能性があります。
こうなる前に、少しでも「おかしい」と感じることがあれば、一度内科や精神科に行って診てもらうことをおすすめします。
自律神経の乱れを放っておくと…慢性的な頭痛
頭痛には偏頭痛と緊張性の頭痛があります。脳の機能そのものが原因の頭痛ももちろんありますが、意外と多いのが自律神経が引き金となっている頭痛です。「偏頭痛」は心臓の動きに合わせたようなズキズキした痛みを起こします。これは自律神経のひとつである「交感神経」の上昇によって収縮した血管に 大量の血液が流れ込むことで血管に負担がかかり痛みを発するからです。
「ただの頭痛」と軽視していると思わぬ病気が隠れていることもありますので、頻繁に症状が出る場合は早めに受診するようにしましょう。
自律神経の乱れを放っておくと…めまい・ふらつき
自律神経は脳に必要量の血液を送る役割も果たしています。自律神経失調症になるとこの機能が低下して脳が酸欠状態になり、 めまいやフラつきを感じることがあります。脳に必要な酸素が運ばれないので、ひどい場合は失神してしまうこともあるようです。
自律神経の乱れを放っておくと…過呼吸症候群
呼吸器は自律神経がコントロールする代表的な器官です。突発的な出来事や、過度にストレスがかかり続けることで、 交感神経が異常なほどに活発になることがあります。息を吸い過ぎたり、吐くことができなくなったりするのが過呼吸の症状。また慢性的に自律神経のバランスが悪い場合は、特別なことが起きなくても 「なんだか息苦しい」といった症状が続く場合もあるようです。
自律神経の乱れを放っておくと…過敏性腸症候群
腸の病気でもないのに、お腹の調子が悪くなることがあります。神経質、責任感が強すぎる、完全主義、他人の目を気にしすぎる・・など、 いわゆるストレスに弱い人に症状がでやすく、 この場合も過度に交感神経が上昇していることが原因です。
また自律神経がまだ未発達な小学生低学年くらいの年齢のお子さんも、 過敏性腸症候群になりやすい年代だと言われています。
他にもまだまだ…
ひとつひとつ取り上げていくのは、きりがないほど 自律神経によるカラダの不調は多いのです。
- 嘔吐症
- 不整脈
- リウマチ
- うつ病
- ガン
- 腰痛
- 首こり肩こり
この中でももっとも注意しなければならないのが「うつ病」です。ストレスが原因で自律神経のバランスを失い、 それによって不定愁訴(不快な症状の総称)が現れます。 そして体の不調が新たなストレスの原因となり、悪循環を繰り返してしまうのです。
長期化した自律神経失調症のために脳の神経伝達物質の働きが破壊されると、うつ病になるリスクは高まってしまいます。
冬にはしっかりとした冷え対策をしましょう
冬の冷えというと、気温の低下や寒冷が影響して手足が冷たくなったり、体調を崩したりする人が多くいますが、意外な原因もあります。それが精神的なストレスです。
健康に気をつけていても、ストレスの多い生活をしていると体は温かくなりません。仕事や家庭でストレスを慢性的に抱えている人は、ストレスを貯めないライフスタイルを築くよう心がけてください。
スポーツや趣味など、楽しくて夢中になれる活動を自分の生活の中に取り入れてみてくださいね!