そもそも「自己肯定感」とは?
そもそも、「自己肯定感」とは何かご存知でしょうか?
自己肯定感とは「自己を肯定する感覚」、つまり「自分は大切な存在だ」と感じる心の感覚です。
つまり、肯定感が高いと「自分は大切な存在、価値ある存在だ」と感じている、ということです。
文部科学省では2017年6月に「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子どもを育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上」を取りまとめ、子どもたちの自己肯定感の低さを改善するための環境づくりについて検討を行っています。
社会性や人間性の基礎となる自己肯定感があることで、自信を持って前向きに社会生活を送ることができるため、自己肯定感は子供の成長にとってとても大事な感情なのです。
自己肯定感は周りのとの関わりの中で高めることができます。特に、自己肯定感の土台が作られる0~6歳の期間は、親との関わりがとても重要です。
「どうせ私なんか…」の口癖は自己肯定感の低い子供のサイン
「自分は大切な存在なんだ」「自分は愛されている」といった気持ちが持てない自己肯定感の低い子供は、
「どうせボクは……」
「ワタシなんか……」
という言葉を口にすることが増え、自己卑下をし、何事にも意欲を持てないことが多いでしょう。
また自分に自信がなく、人との関わりも苦手で、すぐにキレたりする場合もあります。
親から虐待や暴力を受けたり、愛されずに育ったなどの過去がある子供は、自己肯定感が低くなります。
一方、子育てや教育に熱心な親に、愛情をかけられ育っても、自己肯定感が低い子供もいるのです。子育てや教育に熱心なゆえに、気づかずしている自己肯定感を下げる残念な言動等にも目を向けてみましょう。
幸せな親子関係のために、まずは母親のあなたが自己肯定感を上げて幸せに
母親の自己肯定感と子どもの自己肯定感は必ずリンクしています。
子どもは常に親の言動を気にかけているし、母親に認めてほしくて、ほめてほしくて、常にうずうずしているもの。
幸せな親子関係のためにはまず、母親が気持ちに余裕を持って笑ってあげることが何より大切です。それには母親自身の自己肯定感を上げて自分自身で幸せを手にすることが大切です。
これから母親になる人も、今まさに母親になっている人も、自分という人間を見つめなおしすべてを受け入れてみることから始めましょう。
自己肯定感の低い子どもはどうなってしまう?
日本の子どもたちの自己肯定感が世界の子どもたちと比較して、低いということが問題視されています。
日本の子どもたちの自己肯定感が低いことの要因として、謙虚さを大切にするといった考え方や個人主義的な発想を良いこととしない国民性があると言われています。
そういった環境の中で子どもが成長していくと、さまざまな課題にぶつかった際に自分自身の考えを肯定できないために、不安や悩みが多くなってしまうのではないでしょうか。
成長していくにつれ、セルフイメージの描き方が変わってくるので、子どもの頃とはまた違った不安を感じたり悩んだりすることもあるかもしれません。
また、小さな頃から保護者など周りから否定されることが多く、褒められることがなかったなど、認められた経験が少ない場合も、自分は大切にされていないという気持ちになり、自己肯定感が低くなるでしょう。
自己肯定感の低さが原因で、性格的に飽きっぽい、比較することや他人の批判をする、疑いや不安などの感情をもつため攻撃的になってしまう、ということにつながります。
自己肯定感が低い子供と高い子供の違い
自己肯定感が低い子供は、自分に対して否定的になりやすいのに対して、自己肯定感が高い子供は、ありのままの自分を受け入れることができるのが特徴です。
そのほかに、自己肯定感の低い子供と高い子供の特徴には、次のような違いがあります。
自己肯定感の低い子供の特徴
- 自信がなく劣等感が強い
- いつも何か不安を感じている
- 他人との関わりが苦手
- 怒られると極端に落ち込む
- 褒められてもあまり喜ばない
- いつも人の顔色を伺っている
- あまり自分の意見を言わない
- 何事もすぐに諦めてしまう
自己肯定感が高い子供の特徴
- どちらかといえば自信家
- 何事においても楽観的
- 他人と気軽につきあえる
- 怒られてもあまり気にしない
- 褒められると素直に喜ぶ
- 人と自分を比較しない
- はっきり自分の意見を言う
- 何事にも積極的に挑戦する
子どもの自己肯定感を低くしてしまう親の特徴
子供の自己肯定感が低くなってしまう原因の一つに、幼児期の親との関わり方があります。
子供は自分の存在意義を見出すことで、自己肯定感を高めることができます。反対に、自分の価値を見つけられない子供は、「自分は誰にも必要とされていない」「自分なんかいない方がいい」と感じるようになることで、自己肯定が低くなってしまうのです。
子供が自己肯定感を低くしてしまう親の関わり方には、主に次のような特徴があります。
自己肯定感を低くしてしまう親の特徴①子供に愛情を示さない
子供は、幼児期に親が十分に愛情を注ぐことで、誰かが自分に関心を持っていると感じられるようになり、情緒の安定につながります。
さらに、自分がいないと困る人がいるということを認識して、自己肯定感が高まるのです。
しかし、その時期に十分な愛情が受けられないと、自分が大切にされていないと感じるようになり、徐々に自分の存在意義が感じられなくなってしまいます。
自己肯定感を低くしてしまう親の特徴②子供を褒めない・認めない
自己肯定感は、子供が自分一人で身につけるものではなく、親に褒められたり、評価されたりすることによって高まるものです。
そのため、どんなに子供が頑張ったとしても、親など周囲の大人から褒めてもらえなければ、子供が自分の価値を見出すことができません。
「○○ちゃんがいてくれて嬉しい」のように、子供がちゃんとママの意識の中にいるということを伝えると、自分の存在が認められていると感じて、子供の中の存在意義が高まります。
自己肯定感を低くしてしまう親の特徴③子供の自尊心を傷つける
自尊心とは自分を大切に思う気持ちのことで、人は自尊心が傷つくと、自分を高く評価することができなくなってしまいます。その結果、自己肯定感の低下につながります。
「過小評価する」「過去の失敗を持ち出す」「人前で恥をかかせる」などのほか、無視や高圧的な態度も自尊心を傷つけてしまいます。
小さな子供にも自尊心はありますし、子供だって自尊心は傷きます。子供にも立派な人格があるということを忘れずに、相手を尊重して接することも必要なのです。
自己肯定感を低くしてしまう親の特徴④過干渉や過保護
過干渉や過保護は、一見すると子供に愛情を与えているようですが、実は、過保護な親は、子供ができることでも、先回りして全部やってしまうことから、子供は親から「何もできないダメな人間」と否定されているように感じることがあります。
過干渉や過度な口出しによって親が子供の自由を奪ってしまうと、子供自身が考えて行動する機会が極端に少なることから、子供は自信が持てなくなって自己肯定感が低下してしまうのです。
子どもの自己肯定感を高める子育て方法とは
子供の自己肯定感は、放っておいて勝手に身につくものではありません。親や周囲の大人が、大切に育てていくことによって、次第に子供が自分自身を肯定する感情として備わっていくのです。
「子供にどのように接していいのか分からない」というママは、次のポイントを参考にして、子供の自己肯定感を伸ばしてあげましょう。
子どもの自己肯定感を高める子育て方法①達成感を経験させる
子供の自己評価を上げる方法の一つとして達成感があります。
無理かなと思うようなことでも、自分一人の力で成し遂げることによって、「やればできる」「次もまた頑張ろう」という気持ちを持つことできます。
ただし、たとえ子供ができなかったとしても、がっかりしすぎたり、子供を責めたりしないように注意しましょう。親に落胆されることで、子供が失敗することを恐れるようになってしまいます。
子供がグッと変わる改善ポイント
もし、子供が失敗や落ち込んだ時は「また頑張ればいいよ。次はきっと上手くいくよ」
「挑戦したあなたは立派ね」と言って、親は子供のガッカリした気持ちを癒す存在になってください。
そうすることで、子供はまた意欲を持って挑戦するでしょう。
子どもの自己肯定感を高める子育て方法②上手に褒める
子供は、褒められると親に認められたと感じて、自信を深めていきます。一生懸命取り組んだことや頑張ったことを肯定されることによって、「もっと頑張ろう」「もう一度チャレンジしてみよう」と失敗しても前向きな気持ちになることができるのです。
子供を褒める際は、何となく漠然と褒めたり、他の子供と比べたりするのはNGです。結果よりも子供が頑張った過程に着目し、子供にも分かるように具体的に褒めることが大切ですよ。
子供がグッと変わる改善ポイント
子育てに一生懸命頑張っている親ほど、すぐに解決策を言ってしまいがちですが、一旦は子供の気持ちを受け止めてあげてください。
「悲しいよね」
「悔しかったんだね」
「それはママもとっても嬉しいわ!」
など共感することを心がけましょう。
子どもの自己肯定感を高める子育て方法③子供の存在を認める
子供に自信をつけさせるために褒めることはもちろん大切ですが、それと同じくらい重要となるのが「承認欲求」を満たすことです。
承認欲求とは、「誰かから認められたい」と感じる欲求のことで、人は他者から承認が得られないと劣等感が強くなったり、情緒が不安定になる傾向にあります。
例えば、「○○ちゃんがママの子供で幸せ」と伝えることで、子供は「自分はママの特別な存在」と感じるようになるため、自己肯定感が高まります。
子どもの自己肯定感を高める子育て方法④頭ごなしに叱らない
子供は、褒めるだけではなく時には叱ることも必要です。
しかし、子供の言い分も聞かずに頭ごなしに叱ると、子供とはいえ自分が否定されたと感じてしまいます。
特に、過度に感情的になったり、大声で威圧したりするような叱り方には注意が必要です。
子供を叱るときは、子供の悪かった点だけを叱るようにします。くれぐれも、子供の人格を否定することがないよう、物事の善悪について教えることを心がけましょう。
子供がグッと変わる改善ポイント
例として、子供が宿題をしていなかったり、準備が遅かったりと「〜しなさい!」と言いたくなる気持ちも分かりますが言葉を変換させてみましょう!
「まだ宿題しなくて大丈夫?」
「8時のバスに乗るから、7時30分までに朝食を食べようね」
と自分で考えるような言葉がけや具体的な時間や行動で促しましょう。
子どもの自己肯定感を高める子育て方法⑤子供の話をちゃんと聞く
人前で自分の意見を言うことは、子供の大きな自信につながるため、できるだけ自己主張の機会を与えることが大切です。自己主張が上手にできないと、自分の意見が伝わらないことで、周囲から理解されにくくなるため、子供のストレスとなる場合があります。
子供はまだうまく伝えることができずに、大人にとって理解しにくい話をするかもしれませんが、子供の自己主張を引き出すためは、子供の話を途中で遮らないよう最後まで聞くことも大切です。
しっかり子どもと向き合い、子育てをしましょう
子どもの頃に自己肯定感が育まれないと、大人になったときにさまざまな生きづらさにぶつかることになる可能性があります。
幼少期から自己肯定感を育んでいくと、大人になってからも自分に自信を持ってさまざまなことに挑戦していく意欲の高さや、何事にも積極的に取り組めるような前向きさ、社会性を育てることができます。
ありのままの自分を受け入れてのびのびと育っていくためには、自己肯定感を育んでいくことが大切です。
子供と自己肯定感を高める関わり方や教育を意識し、今後の親子の向き合い方が良い方向に向かうようにしてみましょう。