もしかしたらうつ病の可能性も?更年期に被害妄想をしてしまう原因と対処法
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40~50歳は「更年期」と呼ばれ、身体にあらゆる不調が現れやすくなってくる年齢です。更年期に入って被害妄想が酷くなってきた…という方はいませんか?
もしかすると、それは「更年期うつ」と呼ばれる、更年期障害の症状の1つかもしれません。更年期うつの原因と対処法を知って、しっかり向き合っていきましょう。
被害妄想がひどいのは更年期のせい?
更年期の精神的な症状とは
更年期と言えば、さまざまな種類の症状があらわれますが、人によって激しく出る人、ほとんど感じないままの人と個人差があります。更年期の精神的な症状としては、うつ病や躁うつ病に似たものです。
情緒不安定、気分が落ち込む、倦怠感、人前に出たり人に逢うのが億劫、不安や孤独感を強く感じたり、仕事の効率が悪くなるだけでなく、今まで楽しかった趣味や好きだったものに興味が全くなくなり、やる気が失せるのです。
うつから被害妄想へと
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こういったうつ状態は症状が進むと被害妄想へと変わっていきます。充分な根拠や確証のない状態で、他人が自分を攻撃していると思い込んでしまうため、周りの人がみんな敵に見えたり、悪意があるように思えてしまうのです。実際は全くそのようなことがないので周りも本人もなすすべがありませんし、人間関係に大きな亀裂を入れてしまいかねません。
このように更年期に被害妄想の症状が出ることは珍しいことではないのです。
被害妄想の種類
被害妄想はその特徴から大きく3つに分類されます。
他人に笑われている、噂されているなど、まったく関係のない他人の言動や表情なども全てが自分に向けられている。関係のあることだと思い込む「関係妄想」。
盗聴器が仕掛けられている、誰かに後をつけられたり見張られたりしている、盗撮されているなどと思い込む「注察妄想」。
周りにいる人が自分を襲おうとしている、食べ物や飲み物に毒が混入されている、爆弾が仕掛けられているなど、誰かに襲われたり、苦しめられたり、危害を加えられると思い込む「迫害妄想」。
思い込みが激しくて、実際にそれが起こっていると思っているため、「被害妄想だ」という自覚を持つのはとても難しいです。
更年期うつの原因は?
エストロゲンの減少がさまざまな影響を与える
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女性ホルモンのひとつ、エストロゲンの減少によって、このような女性の更年期は引き起こされます。子宮の活動が衰えてくる時期、ちょうど閉経を挟んだ前後の期間なのですが、それまで女性の身体のバランスをとってきたエストロゲンが減少することにより、身体のさまざまな部分に不調が見られるようになります。
生理不順、ホットフラッシュ、イライラなど自覚しやすい症状が出る場合もありますが、冷え、頭痛、乾燥など、一見、更年期と関係なさそうな不調があらわれることもあります。
更年期は心にも影響している
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エストロゲンの減少は、神経伝達物質であるセロトニンを不安定にさせます。それによって、気分の落ち込みや不安が引き起こされていきます。これがうつになりやすい原因のひとつです。
また、更年期の期間は自分自身や環境に大きな変化があらわれやすい時期と重なります。例えば、女性ホルモンが減少することにより見た目に老いがあらわれてくる。鏡に映る日々の自分に一喜一憂したり、老いは止められないとあきらめたりと感情が揺さぶられていきます。
そして、年代的にちょうど子育てが終わる時期なので、専業主婦などは肩の荷が下りて喪失感を感じやすくなります。と、同時に、自分たちの両親の介護の問題など頭の痛い問題も持ち上がってきます。精神面を攻撃するような出来事、環境が、次々と襲ってきます。このような心理的なストレスが、うつにつながっています。
更年期うつのセルフチェックをしてみましょう
自分でできる、更年期うつのセルフチェック
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なかなか自覚症状を感じることが難しい更年期のうつですが、客観的に自分を見て判断するセルフチェックがあります。自分が当てはまらないか、ぜひチェックしてみてください。
更年期うつになると
更年期うつの場合はこのような精神的な特徴があります。
・すぐに疲れてしまったり倦怠感がある
・もの忘れがひどくなるなどの集中力低下
・寝つきが悪く、すぐに目が覚めるといった睡眠障害
・何をしていても楽しくない、食欲もない、身なりにも気を遣わなくなる
・外出するのもおっくうで家に引きこもりがちになる
・イライラしたり、ちょっとしたことでもカッとする、わけもなく落ち込んだりするような情緒不安定
・人が話していることをなかなか理解できない
精神的な症状×身体的症状=繰り返す落ち込み
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さらに、これに身体的な更年期の症状が重なり、これまでできていたことができなくなったり難しくなってくると気分がさらに落ち込み、悪いループができあがり、さらに症状を悪化させる原因にもなります。
そして、精神的な不安定さによって周りの人とのコミュニケーションもこれまでのようにうまく取れなくなってくると、どんどん孤独感を感じるようになり、なかなかこの状況から抜け出せずに苦しむことになります。
一般的なうつとの違い
更年期うつと一般的なうつの違いはどこにあるのでしょうか。
症状としては決定的な違いはなく、大きく違うとすればその原因だと言えます。更年期になって自律神経が乱れてホルモンバランスが崩れることが引き金になるのが更年期うつです。
通常のうつは精神的なストレスが引き金となり自律神経が乱れることが原因のため、ここが大きな違いです。
更年期うつは、先程も触れたとおりホルモンバランスの乱れが影響しているため、ホルモンの減少に身体が慣れて更年期の症状がおさまれば、自然に更年期うつも終わりを迎えます。少し救われた気持ちになりますね。
更年期うつの症状に似ている他の病気ということも!
うつの精神的な症状と似ているものとして真っ先にあげられるのが「甲状腺機能亢進症」です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって動悸や発汗、不眠、イライラ、不安、焦燥感などの症状がおこり、更年期うつの症状と似ていて区別がつきにくい病気です。またこの病気は20~50代の女性によくあるため、更年期の不調とみなされやすく、医師も見落としやすい病気なのです。
他には、認知症の初期症状と似ているということ。若年性アルツハイマーは40代で発症することもあります。不安感やうつ気分が起こったり、無感情になったり、頑固で自己中心的になったりと、症状が更年期うつと似ていますね。
不眠や頭痛などの身体的症状も似ています。これも気をつけたいところです。
更年期うつの対処方法とは
4つの対処方法がある
更年期うつは、更年期の症状がおさまれば終わりを迎えるということは先程も触れましたが、それでも少しでも症状を軽くする方法はないでしょうか。
更年期うつの対処方法としては大きく分けて「ホルモン補充療法」「漢方療法」「向精神薬による治療」「精神療法」があります。
ホルモン補充療法
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女性ホルモンのエストロゲンの減少によって更年期の症状があらわれてくるのですが、そのホルモンを補充することによってその症状を軽減させるのが、このホルモン補充療法です。HRT(Hormone Replacement Therapy)とも言われます。
飲み薬、塗り薬、パッチ薬と形態も複数あり、便利です。ホルモンを補充することによって、翌日にはまったく症状を感じなくなるような人もいます。
この療法は、うつなどの精神的な症状だけでなく、ホットフラッシュなどの身体的症状にも効果をあらわします。
注意すべき点は、ホルモンを補充するため、子宮がんや乳がんのリスクが上昇するということ、また、うつ症状がエストロゲン要因のみである場合は効きますが、他にも要因がある場合は効果を発揮しにくいでしょう。
漢方薬による治療
漢方薬は副作用が少ないことで重宝されます。昔から、更年期の不定愁訴に対してはさまざまな漢方が使われていました。検査では異常がないけれど、本人はとても辛い症状を感じている、そんな不定愁訴の治療は、漢方が最も得意とする分野です。
加味逍遙散(かみしょうようさん)温経湯(うんけいとう)五積散(ごしゃくさん)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)温清飲(うんせいいん)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などが使われます。
漢方は、複数の症状に効果をあらわしやすく、ひとりひとりの体質、体格に合わせて処方されるため、その人とぴったり合えばとても効果を発揮します。一方、合わなければなかなか症状がよくならない状態が続くため、いろんな漢方薬に切り替えて試す必要が出てきます。
向精神薬による治療
強い不安感を和らげる向精神薬には、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬などがあります。
抗うつ薬の中でよく使われるのはSSRIと呼ばれる選択的セロトニン再取込阻害薬です。抗うつ薬の中では安全性の高い薬で、脳内のセロトニンを減らさないようにして、不安な気持ち、落ち込みを防ぐものです。
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、普段は心のバランスを取ってくれるのですが、これが不足すると疲れやすくなったり、集中力がなくなったり、感情的になったりと、更年期うつの症状が出てきます。
そのため、セロトニンが減らない状態を作ってあげることで、不安や落ち込みなどの更年期うつの症状を緩和していくのです。
セロトニンが不足すると睡眠不足に陥りやすくなります。睡眠不足は体力も落ちますし、常にぼんやりした感じで、肉体的にも精神的にもダメージが大きいですから、質のいい睡眠のためにもセロトニンの不足状態は避けたいところですね。
精神療法による治療
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いわゆるカウンセリング的な対応です。更年期うつには子育ての終了などのライフイベントが大きく関わることもあり、専門の医師や臨床心理士が、想いや辛さに耳を傾け、共感し、対応策を一緒に考えるなどすることによって、患者の心がやわらぎ症状が軽減される場合もあります。
デリケートな不調だからこそ自分に合ったものを
更年期うつにはこのようにいくつかの治療法があり、単独、または組み合わせて症状をやわらげていきます。効きやすいけれどリスクがあったり、自分に合うまで時間がかかる場合もあったりと、メリット・デメリットはさまざまですが、更年期特有の不調は理解されにくい上に本人にとってはとても辛くデリケートな問題。自分に合ったものを選んで、この時期を乗り越えたいものです。
更年期としっかり向き合っていきましょう
こんな時には病院へ!
2週間以上気分が晴れない状態や不安、億劫、楽しくない状態が続いていたら、更年期うつを疑ってみましょう。周りの人が気づいて病院をすすめるのもいいでしょう。自分でもそのような可能性があることを知っておくことで、気づきやすくなります。
サプリメントやハーブとうまく付き合って
予防的にサプリメントや食べ物で積極的にエストロゲンを補充したり、リラックスを目的にハーブを利用する人もいます。大豆イソフラボンはエストロゲンに似た作用があるため、更年期の不調をやわらげるのに効果的です。積極的に大豆食品を摂取したり、大豆イソフラボンのサプリメントで補充したりしましょう。
また、ハーブティーの「セントジョーンズワート」はリラックス効果が高く、更年期の女性によく飲まれています。うつの状態にかかわるセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンへの作用があると言われています。お茶として飲むだけでなく、サプリメントにもなっているので自分に合わせて使うといいですね。
更年期は人それぞれ、対処法も人それぞれ
更年期の症状は人によって異なり、その症状の強さも人それぞれです。今はいくつもの対処法があり、周りの人の理解度も上がってきました。
この不安定な時期もあなたの人生の一部です。少しでも笑顔で過ごせるように、自分でもしっかり理解し、準備しておきましょう。
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