【HSP】繊細すぎる人の特徴と消耗しない人付き合いのコツ

繊細すぎてつらいHSP気質とは?

HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)といい「人一倍繊細な人」という意味を持っています。

HSPとは90年代初頭にこの研究を行ったエレイン・アーロン博士によって付けられました。よく知らない人はHSPのことをメンタルの疾病と勘違いしてしまうことも多々あるようですが、HSPはもともとその人が持った「気質」であり、病気ではありません。

HSPは繊細な心を持っており、感受性がとても強いのが特徴です。人や状況に深く感情移入してしまうため、他人の喜怒哀楽にも敏感に反応し心を揺さぶられてしまいがち。大きな音や恐怖映画、暗いニュースなど、普通の人が何とも思わないような小さなことにも影響され、ショックを受けやすい傾向にあるようです。

また、HSPはその感受性の強さから、音楽や映像制作、アートなど芸術的分野で世間をあっと言わせる才能を発揮する人が多いのも注目すべき特徴です。

HSPの人付き合いの主な特徴

HSPの人付き合いの主な特徴①基本的に人と群れるのが苦手

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HSPの多くは大勢でわいわいと騒ぐような人付き合いを好みません。人付き合いでは気を使いすぎて消耗する傾向が大きく、そのため人付き合いは限定的で、むしろ一人でいる方が安心するという人が多いのが特徴です。

HSPの人付き合いの主な特徴②深く物事を考える

何事も慎重で、ひとつひとつ前後を深く考えてから行動します。たとえば気になることなどは、とことん掘り下げて情報収集をするなど、驚くべき情報量や知識を蓄えることも得意です。

HSPの人付き合いの主な特徴③状況や人に共感・共鳴しやすい

他人の感情や視線にとても敏感。人の考えていることを敏感に察知する能力が高いため、たとえば職場で同僚が怒られていると、自分のことのように感じて胸が痛くなるということも。周囲に気を使いすぎて消耗したり、どこまで気を使うべきなのかわからなくなったりすることもあるでしょう。

また、芸術や音楽の感受性も強く、映画やテレビ、読書などでその世界観に共感し、どっぷり感情移入してなかなか現実に戻れないことも多いようです。

「映画やテレビドラマの残酷シーンや殺害シーンは演技とわかっていてもショックを受けるし、つらくてとても見れません。陰惨なニュースを見るのがつらく、消音しています。みんな、あんなのを見てよく何ともないなぁとずっと不思議に思っていましたが、自分がHSPだとわかって腑に落ちました」(30歳・公務員)

HSPの人付き合いの主な特徴④音に敏感

HSPは音にとても敏感です。特に大きな音に圧倒される傾向が強く、救急車の音やインターホン、電話の音が苦手という人も少なくないようです。

「工事現場の機械音や草刈り機の音などの雑音。花火の音など、遠くで聞こえていても、心がざわざわしてしんどくなるのでヘッドマフが欠かせません」(26歳・イラストレーター)

「誰かが突然大きなくしゃみをしたり、叫び声をあげると、関係なくても椅子から転げ落ちそうになるほど驚いてしまう。映画も、映画館の大音量が苦手なので家で観るしかありません」(31歳・編集者)

HSPの人付き合いの主な特徴⑤人の些細な言葉に傷つく

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相手が悪意なく言った言葉にもHSPは深く傷ついていることが少なくありません。相手の言葉の真意を深く考え、自分自身の中でさらに深掘りしてしまう気質のせいなのです。些細な言葉にも過剰に反応し、頭から離れなくなることも珍しくないでしょう。そういう意味でHSPは常に「生きづらさ」を抱えていると言ってよいでしょう。

「HSPです。職場でパソコンの打ち間違いのたびに「わーっ!」と大声を出す人がいて、その都度心臓が止まるほど驚かされます。そしたら相手に「そんなに大げさに驚くことないじゃん」と捨て台詞を吐かれてしまい、呆然。無神経な人って他人の心を結構グサグサやるから、HSPは特に気をつけた方がいいです」(29歳・メーカー)

HSPの人付き合いの主な特徴⑥触感や質感、嗅覚、あらゆるものが敏感

他にも、HSPは五感がかなり敏感です。たとえば、ゴワゴワしたりザラザラするものが苦手であったり、洋服や下着のタグが肌に当たるのが気になってカットする人も多いようです。

柔軟剤の匂いや加齢臭、バスや電車の独特の匂いなどにも敏感なので、気にしない人から見るとかなり神経質に思われるかもしれません。

HSPの人付き合いの主な特徴⑦直感力が鋭い

直感がとにかく鋭いことが多いのもHSPの特徴です。他人の嘘やお世辞は直感的に見抜きます。繊細で心配性でもあるため、危険に対する察知力が高いのも特徴です。特にHSPは防災意識やいざという時のリスク管理に長けている人が少なくありません。

意外すぎる。人付き合いが苦手に見えないHSPとその特徴とは

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繊細すぎるだけに人付き合いがつらくなるHSPですが、日本人は5人に1人がHSPの気質を持っていると言われています。

人付き合いが苦手に見えない「HSSタイプのHSP」の特徴

HSPの中には、刺激を求めて新しいことに積極的に挑戦するHSSというタイプの人もいます。

HSSとは「High Sensation Seeking」の略で、その名の通り、HSPの中でも特に刺激追求型タイプのこと。HSSタイプのHSPは、本来の繊細さや敏感さで慎重になる性格と、刺激を求めて積極的に活動する性格が共存しているということになるでしょう。

この特質は芸能人や文化人によく見られます。まさかあの人が?という人がHSSタイプのHSPであることが少なくありません。

外交的でチャレンジを恐れないHSSタイプのHSPは、表面的には活動的な人に思われることも多いものですが、しかし内面は繊細で傷つきやすさを抱えていることには違いがありません。そのため、今まで積極的に挑戦していたことに急に不安を感じて活動を迷ったり、制限したくなったりすることも少なくないのです。

つまりHSPもHSSタイプのHSPも、自分の中に常に「生きづらさ」を抱えているのです。

人付き合いが苦手でも芸能界で活動しているHSPも

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「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんが自らHSPであることを雑誌でカミングアウトして、ニュースになっていました。そこには「好奇心が強く、刺激好きと見せかけてめちゃめちゃ敏感で弱いです。ありとあらゆるものに敏感すぎて、本当に生きづらい」といった言葉があり、田村さんがHSSタイプのHSPであることがよくわかります。

他にも芸能界にはたくさんのHSP、HSSタイプのHSPの人が活躍しています。HSPをカミングアウトしている評論家の勝間和代さん、また、現在最も活躍しているシンガーソングライターの米津玄師さんも、かつて高機能自閉症であったことから人前に出るのがとても苦手と語っています。

また、HSPの名付け親であるアーロン博士があげたHSPの有名人は、作家のブロンテ姉妹や詩人のリルケ、彫刻家のカミーユ・クローデルや、元アメリカ合衆国大統領のジョージ・ワシントンとロバート・F・ケネディといった錚々たる面々が名を連ねています。慎重で思慮深い性格である彼らもまた、どこか生きづらさを抱えたHSPだったのでしょう。

HSPはその分析力や思慮深さ、文章力、共感力、鋭い感性など特徴を活かせば大きな功績を残す偉業も成し遂げられるパワーを秘めているといえるでしょう。

参考:
ロンブー田村淳さんのHSP処世術「周りと意見が合わない時は、HSPのせいにしてます(笑)」 | ダ・ヴィンチニュース @d_davinciより

参考:
米津玄師 いじめや自閉症の苦しみ「自分の周りには支持者はいない」 #ldnews

人付き合いが苦手。もしかして自分がHSPの特徴に似ていると思ったら?

言われたことを必要以上に気にしてしまったり、心配性だったり。ある程度の気質はあると思いますが、あまりにも繊細すぎて気にしすぎるならHSPの可能性もあるでしょう。HSPはまだ一部にしか情報が広がっておらず、悩んで誰かに相談しても「それはあなたの感覚が変なのでは?」「神経質すぎる」となかなかわかってもらえないことが少なくありません。

しかし、HSPは「病気」ではなく、持って生まれた「気質」です。日本人には5人に1人という一定数がいることを考えても、あなたは決して一人ぼっちではありません。ちょっと勇気を出して、HSPの世界を知り、肩の荷を軽くしてください。

人付き合いが苦手な自分の特徴を理解する

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人付き合いが今までうまくいかなかった理由や、心の中で葛藤し続けてきたことが、HSPの自己チェックによって「ああそうだったんだ!」と気づけることが多々あります。HSPに関する正しい情報を知ることで、自分自身を受け入れることができるようになるでしょう。他の人が気づけない些細な変化に気づける繊細さは、HSPだけに与えられた豊かさでもあるのです。

HSPの自己テストは、エレイン・N・アーロン博士の著書『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』(講談社刊) などに載っています。また、インターネットでもHSPのチェックができるサイトがあるので、探してみるとよいでしょう。自分の特性を知ると、気持ちがとても楽になれます。

人付き合いで消耗しがちなHSPの特徴をプラスに活かそう

もし自分がHSP(Highly Sensitive Person)であるとわかったら、人間関係や人付き合いにちょっとした改善や工夫をすると、今までの「生きづらさ」がかなり軽くなります。

自分がHSPであるとわかっている人、もしかするとHSPかもしれないなと思っている人は、日頃から次のことを心がけると気持ちが楽になるでしょう。詳しく見ていきましょう。

人付き合いで心がけること①焦らないこと

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特に進学や入社、結婚など、人生の新しいステージなどでは嬉しい反面、責任感もひしひしと感じるものです。特にHSPは、新しい環境に心が馴染むまでに時間がかかることもあるのに、人に認められようと焦ってしまいがち。最初から自分にプレッシャーをかけすぎてはいけません。焦って前に進もうとしなくていいのです。休みながら、ゆっくり進みましょう。

人付き合いで心がけること②鈍感力を身につける

HSPは敏感で繊細で、人の感情の奥に秘められた本音にもよく気がつき、場の空気も人一倍読めるはず。しかし、職場でも家庭でも、ずっとそんな調子ではエネルギーを消耗するばかりです。HSPの人は疲れてしまわないためにも、

・あえて空気を読まない

・状況や人から情報を読み取りすぎない

・人の気持ちに意識を向けない

という『鈍感力』を身につけたいものです。これは作家であり医師でもある渡辺淳一さんが提唱したもの。鈍感だと、傷ついても立ち直りが早く、干渉されてもすぐに忘れられます。鈍感力のポジティブな力は、何かと消耗するHSPにとっては大きな恩恵となるかもしれません。

参考:『鈍感力』渡辺淳一著(集英社)

人付き合いで心がけること③他人との境界線をはっきりさせる

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他人に影響されやすく、共鳴や共感をしやすいHSPは、その良し悪しに関わらず共鳴してしまうため、時にはネガティブなエネルギーを受けて苦しむことも多いはずです。HSPは他人と自分の境界線がはっきりしていないことが多いため、こういった状態に陥るのです。

人の気持ちを敏感に察知できる能力は素晴らしいものですが、過剰な同調や、相手の気分や考えに影響を受けすぎて引きずられることにならないよう、他人との境界線をはっきり決めておくことが大切です。

「大したことでなくても、相手がどういう意味で言ってきたのか、今どういう気持ちなのか深く考えてしまいます。考えすぎて人付き合いがギクシャクしたり、疎遠になることもあって。それからは「人は人、自分は自分」と言い聞かせています」(36歳・サービス業)

人付き合いで心がけること④自分を解放できる時間を大切にする

まるで頭の中にコンピュータが入っているかのように、常に人や状況の分析や情報処理を得意とするHSP。敏感さゆえに、人混みや物音、味覚や匂い、気圧の変化、電磁波や人間が発するエネルギーなどにも気づき、影響を受けつつも、あらゆる対策をとり続けている多忙な状態と言っても過言ではありません。

HSPである生きづらさを感じるときは、周囲に気を使わず、完全に自分を解放できる時間を大切にしましょう。

「HSPの私が自分を解放するために唯一続けているのは水泳です。泳ぐというよりも、プールで潜水したり、ビート板を抱えてただ浮かんだりすのがとても心地いいのです。水の力も借りて、消耗していたエネルギーがうまく自分の中に戻ってきてくれるような気がします」(26歳・編集者)

豊かな世界を創造できる可能性を秘めたHSP。その特徴に寄り添おう

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すべてにおいて敏感で、人付き合いが苦手で、小さなことにも傷つきやすいというと、HSPは本当に生きづらいと思いがち。

しかし、視点を変えて弱点を克服すれば、HSPの繊細な感性は芸術にも昇華できる素晴らしい才能を持っていることも多いもの。多様性のパイオニアでもあるHSP、あなたももしかしたらHSPなのかもしれませんよ。

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