無意識のうちに子育ての中でダブルバインドをしているかも
「ダブルバインド」という言葉を耳にする機会が増えましたが、どんな意味を持つかをご存知でしょうか?
子育てにおけるダブルバインドとは、矛盾した2つの命令をすることで子供が親に従わざるを得ない状況に追い込むことを指します。
例えば、ショッピングモールのおもちゃ売り場からなかなか帰ろうとしない子供がいるとします。
ママははじめのうちは「そろそろ帰ろう」と優しく声がけをするものの、子供に何度も拒否されると次第にイライラが募っていきます。
この時、「帰らないならママだけ先に帰るからね、勝手にしなさい!バイバイ!」と言って子供を置いて帰ろうとしたことはありませんか?
子供は置いていかれると思い、泣きながらママのあとを追いかけます。
しかし、上記の状況で仮に子供が追いかけてこなかったとしても、本当に置いて帰るママはいません。
「ほら、いい加減にしてよ!帰るよ!」と子供を抱きかかえて連れて帰ることがほとんどのはずです。
ママの発言を振り返ってみると、「先に帰るからね!」と言ったのに実際は帰らない矛盾、「勝手にしなさい!」と言ったのに無理矢理連れて帰る矛盾、2つの矛盾が生じていることが分かります。
このようなママの矛盾した言動や行動は子供を混乱させてしまいます。
子育てをしているママにとっては日常茶飯事の光景に思えるかも知れませんが、このようなダブルバインドは子供に悪影響を与えてしまうことで懸念されています。
子育てでダブルバインドをしてしまう原因とは?
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なぜ子育てでダブルバインドをしてしまう人が多いのでしょうか?
子育てでダブルバインドをしてしまう原因の大前提として、子供が自分の思い通りに行動してくれないことに対する不満や苛立ちが挙げられます。
はやく帰りたいのに子供が従ってくれない。
座って大人しくご飯を食べて欲しいのに遊び始める。
はやく寝かしつけたいのにいつまでも遊んでいる。
など、子育てをしていると子供が思い通りに行動してくれないことはよくあることです。
イライラしてしまう気持ちはよく分かりますが、その度にダブルバインドで強制的に子供を従わせてしまうのはおすすめできません。
子供がママの思い通りに行動してくれなかったとしても、これは当然です。
なぜなら、子供はママとは違った考えを持つひとりの人間だからです。
なかなか言うことを聞いてくれない=悪い子と捉えられがちですが、むしろ正常な成長と言っても過言ではありません。
そもそも子供を自分の思い通りにしたいと考えていることがダブルバインドに繋がります。
子供が自分の思い通りに行動してくれない時、ダブルバインドをすることで子供は仕方なくママに従います。
このように、大人はダブルバインドをすれば子供が思い通りになることを知っているからこそ、子育てで無意識にダブルバインドをしてしまうのです。
ママにとっては子供が自分の思い通りに行動してくれるから満足かもしれません。
しかし、無理矢理従わされた子供の心には不満ばかりが積もってしまうでしょう。
ダブルバインドの子育てが子供に与える影響とは?
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続いて、子育てでダブルバインドをすることで子供に与える影響について解説します。
ダブルバインドは大人にとっては言うことを聞かせる都合の良い手段かも知れませんが、子供の気持ちを無視する行為でもあります。
気持ちを受け入れて貰えないことで、子供に様々な悪影響を与えてしまいます。
まずダブルバインドが子供に与える影響として、親のことを信頼できなくなることが挙げられます。
親が子に対して日常的に脅すような言葉を掛けていると、子供の心には「いつかは見捨てられるのではないか…」という不安が募っていきます。
常に親の顔色を伺って行動し、心に不安感を抱きながら親と接することで、精神的に不安定な状態になることも考えられます。
また、ダブルバインドを覚えた子供は親に対しても脅しの言葉を掛けるようになるでしょう。
「おもちゃを買ってくれないなら勉強しないからね」
「ゲームをさせてくれないなら学校に行かないからね」
など、親が従わざるを得ない状況を作り出す可能性もあります。
このようにダブルバインドを覚えた子供は、友達に対しても脅しの言葉を使うようになります。
「おもちゃを貸してくれないならもう遊ばないからね」
などと友達に対して命令をするようになり、友達との信頼関係も築けなくなってしまいます。
ダブルバインドをしない子育てを心がけよう
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つい無意識のうちにやってしまいがちなダブルバインドですが、子育てでダブルバインドをしないためにはどんなことを心がけるべきなのでしょうか?
子育てでダブルバインドをしないためのコツを2つご紹介します。
子供の気持ちを受け入れよう
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まず、ダブルバインドをしないために重要となるのが子供の気持ちを受け止めることです。
子供がやりたいと主張することを一旦受け止め、言葉にして復唱してあげましょう。
例えば子供がなかなかおもちゃ売り場から帰ってくれない時は、「まだ遊びたいんだね」と子供の気持ちを代弁してあげます。
子供の気持ちを代弁してあげることで、子供は自分の気持ちを分かってくれたと感じます。
一旦子供の気持ちを受け入れたうえで、「でももうご飯の時間だからそろそろ帰ろう?」などと提案してあげましょう。
シンプルな言葉で伝えよう
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子供に対してなるべくシンプルな言葉で伝えることもダブルバインドをしないためのコツです。
「帰らないなら置いて帰るからね!」など回りくどい言い方をせず、子供にしてほしいことを簡潔に伝えましょう。
その上で、あらかじめ条件を提示しておくことが効果的です。
「そろそろ帰ろうよ。」と伝えて子供が拒否するのであれば、「あと30分経ったら帰ろうか」「〇時になったら帰ろうね」などとあらかじめ時間を決めて遊ばせることですんなりと従ってくれることも多いようです。
ママの帰りたいタイミングに声掛けをするのではなく、あらかじめ時間を決めて遊ぶことがポイントになります。
子供がなかなか帰ってくれずに悩んでいるのであれば、ぜひこの声掛けを試してみてはいかがでしょうか。
ダブルバインドをしていないか子育てを客観的に見よう
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子育てでダブルバインドをしている人の中には、自分が子供を脅していることを自覚していないことも少なくありません。
子供が親の言動の矛盾を指摘することもないため、自分では気づかないうちに矛盾した要求を子供に押し付けているかもしれません。
自分自身が我が子に対してダブルバインドをしないためには、子育てを客観的に見ることを常に心がけるべきです。
子育てを客観的に見るためにおすすめなのが、日記です。
子供に対してどう接したか、どう思ったかを日記として思うままに書いてみましょう。
それを見返すことで自分自身の気持ちや言動を客観視することができ、問題点にも気づくことができます。
自分自身が子育てでダブルバインドをしてしまっていると感じるのであれば、子育ての様子を日記につけて客観視することから始めてみてはいかがでしょうか。