女性に多いインポスター症候群。自分の過小評価から抜け出す方法

キャリアも名誉もあるのに自信がない?『インポスター症候群』の辛さ

誰の目から見ても成功して輝いているのに、いつも自信がなくて不安。経験豊かなリーダーとして周囲に賞賛されると「自分なんか運が良かっただけ。

特別なことをしたわけじゃない・・・」と急にネガティブな気持ちに襲われてつらくなるという人がいます。

まさかあの人が自信がないなんて、そんなの嘘でしょう?と誰もが思う人ほど、自分を過小評価する『インポスター症候群』にかかりやすいと言われています。

『インポスター症候群』は自力で成功を手に入れ、周囲も認める実力を持っているにもかかわらず、本人が実力や実績を疑ってしまう兆候がみられる現象です。

周りから評価されても、自分には評価に値する資格などないと過小評価するため、「自分は人をあざむく、まるでインポスター(詐欺師)だ」と自責の念にかられる傾向が強いことから、インポスター症候群と名付けられています。

『インポスター症候群』は、特に有能な女性や社会で成功した人ほどかかりやすい現象として知られています。

実力があって社会的な成功もしているというのに、自分自身の成功や達成を実感できないのは、本人にとって本当につらいことです。

『インポスター症候群』は例えるなら、オアシスを求めて砂漠を延々と彷徨い続けることにも似ています。

オアシスは自分の足元にあるというのに、それに気づくことができず、「自分はこのままではダメだ」「やっぱりオアシスを探すなんて荷が重い」と、さまざまな葛藤や不安に襲われ、頭を抱えてしまって動けなくなってしまうのです。

『インポスター症候群』は70%の人が一度は経験するもの

『インポスター症候群』は精神障害などではなく、誰もが経験するところから『インポスター体験』とも言われています。

特別なことではなく、男女ともに経験する人は多いこととして知られており、70%の人々が人生で少なくとも一度は『インポスター症候群』を経験すると言われています。

あなたがもし、夢や目標を達成したにも関わらず、それを喜ぶ気分になれず「こんなのまぐれだ、ただ運が良かっただけなんだ」と自分自身の実力を過小評価して自信を失う状態にあるなら、『インポスター症候群』を疑ってみることが大切です。

日本ではまだあまりこの症候群は有名ではありませんが、海外ではアカデミー賞受賞俳優のトム・ハンクス、エマ・ワトソン、ジョディ・フォスターなど、自ら『インポスター症候群』であることに言及している有名人はとても多いのです。

プロフェッショナルも陥る『インポスター症候群』

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周囲から見ると成功者で、豊かな才能に恵まれ自信満々に見えている人でも『インポスター症候群』に陥ると内面では苦しみもがいている状態になってしまいます。

『インポスター症候群』に陥ると自分自身の成功や実力を正当に評価できなくなるため、自信をなくし、仕事の行きづまり感が強まり、新しいゴールを達成したり、新たなチャンスに挑戦しようという気持ちが失われていきます。また、ネガティブで臆病になり、自分自身を追い詰めてしまうことも少なくありません。

実際には、本人が自分のことをインポスター(詐欺師)だと思い込んでいるだけであって、地道な努力や実力で勝ち取った功績を非難する人はいません。

しかし、本人が「自分には実力がない」と思い込んでしまうため、周りが自分を褒めるほど不安が大きくなってしまいます。

スクリーンやテレビで華々しい活躍をする俳優や芸能人、作家、歌手など、常にトップニュースに出てくるような有名人の中にも、『インポスター症候群』で苦しんでいる人はいるはずです。

そして、バリバリ実力を発揮して起業したり、その功績を認められて会社で昇進が決まった女性たちにも、『インポスター症候群』に陥ってつらい気分でいる人が大変多くなっていると言われています。

『インポスター症候群』の特徴的な心理状態は?

自分の実力で勝ち取ったキャリアや功績が信じられなくなる、自分には人に褒められるような実力はないと過小評価をしてしまう『インポスター症候群』。その心理的な特徴とはどのようなものでしょう。

『インポスター症候群』は自分の実績を実感できず虚無感にとらわれる

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今まで一生懸命頑張ってキャリアを重ね、現在の地位を手に入れたというのに、

成果を出しても、自分の努力の結果だと思えない『インポスター症候群』。

ふと気づいたら、心の中は虚無感でいっぱいということになりやすいのが特徴です。

自分自身に誇るべき魅力があることを素直に認めることができなくなるため、「今の自分のキャリアなんて大したことない」「自分に実力なんてない。ここまで来たのは単なるまぐれだ」と思いがちです。

『インポスター症候群』は他人の評価と自分自身の評価に落差を感じる

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『インポスター症候群』に陥ると、高い評価を受けているにも関わらず「周囲の人は自分を過大評価しすぎている」と卑屈な気持ちに陥ったり、周囲の人が示す自分への高い評価と、自分自身への低すぎる評価の間で大きな落差が出てくるのが特徴です。

自分の成果や目標達成を素直に受け取れず、喜べないのは不幸です。そのままにしておくと、キャリアがあるにも関わらず、内面はどんどん自信をなくしてしまいます。

また、ちょっとしたアクシデントで仕事のブランクがあると、たちまち不安に襲われ、追い詰められてしまうことも少なくありません。

『インポスター症候群』は自分への否定的意見を恐れる

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『インポスター症候群』に陥ると、極端な失敗や間違いや、他人からの否定的な意見を極度に恐れてしまうようになります。

本来、そのような意見に動じる必要がないぐらいキャリアもあり、ハイクラスな位置にいる人でも、『インポスター症候群』に陥ると繊細で傷つきやすくなるため、不安やストレスで、うつ状態になってしまうことも少なくありません。

しかも、自分が動揺していることを発覚するのを避けようとするため、それ以上の新しい挑戦や行動を抑制してしまいがちなのです。

『インポスター症候群』はSNSで追い詰められることも

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今や誰もが使うSNS。心無い書き込みなどで追い詰められる人が多く、最近はそのあり方を見直す必要が叫ばれています。

『インポスター症候群』に陥ると、他人の否定的意見を恐れるようになると同時に、こういったSNSでの心無い書き込みをされることにも大変敏感になってしまいます。

自分のちょっとしたことや、失敗をSNSなどで騒がれたり、あげ足を取られたり、叩かれたりすることは一般の人以上に、『インポスター症候群』に陥っている人には大きなダメージを与えます。

自分に自信を失っているときに辛辣な評価を受けると、「やはりそうなんだ、自分は詐欺師だ」とネガティブに共鳴して落ち込んでしまうのです。

逆に、投稿に「いいね」という賞賛の意見が相次ぐと、「違う、自分はみんなが思うような自分ではない」と返ってつらくなることも多いでしょう。

褒められたり評価されると過小評価に走り、結局誰もわかってくれないと孤立感を深めます。結果として急にSNSを閉じてしまうこともあるでしょう。

『インポスター症候群』に陥りやすい女性の特徴は?

『インポスター症候群』に陥りやすい女性の特徴がいくつかあるので、自分に似た部分がないかチェックしてみましょう。

①完璧主義

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『インポスター症候群』は完璧主義でプライドが高い人ほど陥る確率が高まります。

『インポスター症候群』にとらわれると、他人に自分の能力が偽物だと思われたくないという気持ちになり、今までより仕事に熱中するようになり、過労状態に陥ることも少なくないでしょう。

『インポスター症候群』に陥ると、普通なら十分に感じられるはずの自信を持てなくなるため、自分の中で空回り感ばかりが強くなり、不安やストレスで精神的につらい状況に追い込まれたり、燃え尽き症候群や睡眠不足に陥ることも少なくありません。

②まじめな人

何事もまじめに取り組む人、謙虚な人もまた『インポスター症候群』に陥りやすいと言われています。

特に日本は、謙虚であることを良しとする文化的な土壌が脈々と受け継がれているため「人に自分の功績を言ったり自慢するのははしたない」という意識が刷り込まれていることが多いでしょう。

また、「女性は女性らしく」「女性は出しゃばらず、いつも控えめでいなさい」などと親などからの刷り込みもあるはずです。

そういったさまざまな意識の刷り込みがある中で『インポスター症候群』に陥ると、まじめな人ほど、自分に価値を見いだせない状態に陥ってしまうのです。

③自分を偽る人

『インポスター症候群』に陥ると、優秀な女性ほど自分の能力を偽って「私バカだから」などと友達の前で自己卑下してみたり、自分の実力にふさわしい仕事の案件が提示されても「私には荷が重い」とせっかくのチャンスをふいにしてしまうことが多いものです。

自分の才能や知性を人に見せたら嫌われるのではないかという考えにとらわれてしまうのです。安心感を得るために、「自分はバカで、成功に値しない」というネガティブな暗示を自分にかけ続け、信じ込ませる状態を作り出してしまいます。

④自己アピールが苦手な人

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『インポスター症候群』に陥ると、自己アピールをするのがとても苦手に感じることが多いでしょう。

入学や入社面接のような場面では、自分の功績について話すことが大切ですが、功績は事実であれば決して自慢に聞こえることはありません。

しかし、『インポスター症候群』に陥っていると、事実であっても、自己アピールするのは相手に自慢しているような違和感を持ってしまうため、自分の成果や知識を過小評価して伝えてしまい、結果として失敗することがあるのです。

自分の功績を正当に受け止めた上で、そういった場面で上手に成果をアピールできるようにするには、まずは『インポスター症候群』から一刻も早く抜け出すことが肝心です。

『インポスター症候群』は恋愛にも影響する

自分に自信がなく、自己評価が低い『インポスター症候群』。この状態に陥ったままだと、せっかくの恋愛関係にも悪い影響が出てしまいます。

たとえばあなたが誰かに好意を寄せられて、あなたもその男性のことをまんざらでもない場合。

普通ならおつきあいに発展したり、デートを重ねていくにつれてお互いの良さを見つけて、心を開いていくものですが、『インポスター症候群』に陥っていると、その男性があなたに好意を寄せてくれていることに対して「私なんて魅力ないのにどうして?」と、その好意を素直に受け入れることができません。

それどころか、相手に申し訳なさを感じてしまい、せっかくの告白を拒んでしまうこともあるでしょう。

『インポスター症候群』の恋愛は好き避けしてしまいがち

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「好き避け」とは、文字通り、自分が好意を抱いている相手に対して、「あなたのことなんて好きじゃない」とわざとそっけない態度を取ってしまうことを言いますが、『インポスター症候群』に陥ると自分への自信を極度に失い、「好きだけど、私なんて相手にしてもらえるわけがない」「好きだけど、私には好かれる価値がない」などとネガティブな思いで心の中がぐちゃぐちゃになってしまうのです。

その結果、好き避けして、いつまでも自分の気持ちを素直に伝えられないという思いに苦しむことも少なくないのです。

『インポスター症候群』の恋愛は、付き合っていても疑念が消えない

言い寄って来てくれた男性とおつきあいが始まっても、『インポスター症候群』に陥ったままだと、自分自身への過小評価が止まらないため、おつきあいするたびに自信が揺らいでしまいます。

「どうしてこの人は私のことを好きになってくれたんだろう?」「私なんか何の魅力もないのに、どうして?」などと相手への不安や疑念が消えないことも多々あるはずです。

そんな状態だと、いざ意中の人と付き合うことができても、自己卑下発言や、自分にダメ出しばかりするネガティブ発言をしてしまい、相手に愛想を尽かされることが少なくありません。

『インポスター症候群』はあえて異性に壁を作りがち

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周囲から見ると、魅力もあり素敵な女性なのに『インポスター症候群』に陥っていると

あえて異性から嫌われるような行動や言動をしてみたり、わざとのように恋愛には興味がないことを吹聴して言い寄って来そうな男性を牽制したりしがちです。

自分に自信がなく、自己卑下の塊になってしまう『インポスター症候群』は、周囲の人が自分を恋愛対象としてみなさなくなることが、いちばん安心で安全であると考えるようになってしまいます。

誰かに告白されたり、恋愛感情を持たれるのが怖くなってしまうのです。それは、女性にとって、とてももったいないことです。

まずは自分が『インポスター症候群』に陥っていることを自覚し、そこから抜け出す努力をしてみることが何より大切です。恋愛においても「等身大の自分で十分人に愛される価値がある」こと実感できるようにならない限り、『インポスター症候群』の悪循環は断ち切れません。

せっかく好きになった女性なのに、自己卑下ばかりでネガティブだとがっかりしてしまういます。自分を卑下するのは、あなたに惚れた男性をも貶める行為だからです。実際にはそんなことを思っていないのに、つい言ってしまうこともあるでしょう。

自分を好きになってくれる人を傷つけないためにも、『インポスター症候群』から抜け出す方法を探ってみましょう。

女性が『インポスター症候群』から抜け出すためにできること

自分に対する過小評価をやめ、健全な自信を取り戻すために。女性が『インポスター症候群』からうまく抜け出すヒントをご紹介します。

①完璧主義をやめること

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『インポスター症候群』は完璧主義の女性に強く現れる傾向があります。仕事も家事も子育ても、すべてそつなくこなさねばというプレッシャーが大きければ大きいほど、『インポスター症候群』と隣り合わせにいることを自覚しておきましょう。

すべてを完璧にこなして、誰からも非難されないようにしようという状態は、不健康で不自然です。

助けて欲しいときには助けを呼び、すべて100%やろうなんてことを思わず、60%できているなら十分合格だと自分を褒めることで、徐々に本来の健全なバランスが戻ってきます。

②夢や目標を高く設定しすぎないこと

『インポスター症候群』に陥りやすい人は、もともと実力があるため、最初からせってする目標が高すぎることが多々あります。今まで高い目標設定をクリアしてきた人ですから、その能力は自信を持つべき長所です。

しかし、目標設定が天井知らずになってしまうと、目標を迅速に達成していたい気持ちが返って自分の首を絞めてしまいます。

もしその目標をクリアできたとしても『インポスター症候群』に陥っていると実績を感じるどころか「単に運が良かっただけ」と自分を過小評価する元凶となってしまいます。

まずは、高い目標を設定しすぎず、目標をいくつかのステージに区切って、徐々に達成していくよう計画を立ててみてください。

『インポスター症候群』を抜け出すために、この作業はとても大切です。目標を小さなステージに区切れば、自分が着実に自分の努力で前に進んでいるということを、その都度実感できるようになります。

③自分の実績をその都度メモしておくこと

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『インポスター症候群』を抜け出すためには、自分のやってきたことをしっかりと覚えておくことです。自分の実績を確かめることができれば、自分にどれだけ価値があるかもわかります。

そこから大きな自信も生まれます。まずは何か仕事や大きな目標を成し遂げたときに、そのことをよく覚えておけるようメモをとりましょう。

たとえば、

「○月○日 100人のクライアントへのスピーチを行う 大成功!」

「○月○日 プロデュースした商品がいよいよ販売開始 嬉しい!」

「○月○日 念願の新居に引越し完了 今日から新しい生活スタート!」

「○月○日 プロジェクトが無事終了! よくやった♡」

こんなふうに、どんな小さなことでも良いのです。自分が達成したことをすべて、ノートに書き出していきましょう。

自信がなくなったときに、これらの達成項目を読み返すことで、自信を取り戻すことが簡単にできるようになるでしょう。

目標を達成するときに、TODOリストを作るなら、それらは捨てずにノートに貼り付けて保存しておくと良いでしょう。

自分がいかに仕事や作業を達成してきたかわかるので、これも『インポスター症候群』を抜け出すために大変効果的です。

⑤失敗を必要以上に恐れないこと

『インポスター症候群』に陥っているときは、些細なミスを犯しただけでも自己卑下を繰り返して、自分を責めてしまいがちになります。

偶発的で避けられないミスはあるものですし、誰にも責められているわけではないのに、「もう自分は終わりだわ」「みんなにダメ人間だと思われてしまった」などと落ち込んでしまうものです。

下手をすると「もう、この仕事は自分には向いていない」と考え、辞めてしまうことだってあるのです。

『インポスター症候群』に陥っているときは、失敗は誰でもするし、しない人の方が珍しいということを心に刻む必要があるでしょう。たまたまひとつの失敗をしたことで、自分の価値や人生、知性まで否定するのはばかげています。

失敗は前進するための価値ある教訓とらえて、そこから学ぶことを忘れずに。「失敗しちゃったな!でも次は頑張る!」と、自分の感情を言葉にして言い聞かせるのも区切りをつけるには効果的です。

⑥自分自身に優しくなること

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『インポスター症候群』に陥っていると、「自信がある」「自信がない」といったことだけにとらわれがちになってしまいます。

自分にダメ出しばかりをして、過小評価し、自己卑下して、あなたのプライドを自分で踏んだり蹴ったりの状態になっているはずです。

本来のあなたは、自分に素直に行動できて、自己表現できる人であることをよく思い出してみてください。ありのままの自分自身でいられるよう、小さなことであっても、自分を褒めて、「よく頑張ったね」と自分をねぎらうことを忘れずにいてください。

そうしているうちに、やがて本来の自己肯定感が生まれ、『インポスター症候群』から抜け出すことができるようになるはずです。

『インポスター症候群』は7割の人が経験する体験。今のあなたは100点満点であることを忘れないで

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何をやっても優秀で自信満々に見える人が、実は「自信がない」と弱音を言って周囲を驚かせることはあるものです。とても信じられないと思う人が多いかと思いますが、キャリアのある人ほど『インポスター症候群』にかかりやすいものです。

自分が『インポスター症候群』を患っていると気づいたら、SNSなどでそれを周囲の人に伝えて見るのも良いでしょう。7割の人が同じ状態に苦しんでいるのです。私もそうなんだという人がいれば、情報を共有しともに前進する勇気を持つこともできるでしょう。

小さなことでも自分を褒めて、よく頑張ったとねぎらうことです。今まで頑張ってきた自分を褒めましょう。それを積み重ねれば自己肯定感がやがて自信につながります。

今のあなたは100点満点。『インポスター症候群』を抜け出して健全な自己評価を取り戻していきましょう。

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