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ラオスで捨て猫の保護活動を続ける日本人女性。彼女の原動力とは?
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 岩竹さんがラオスで捨て猫を保護する活動を始めたきっかけ

中国からラオスの首都ビエンチャン郊外に移り住んで、一年あまりの月日が過ぎました。コロナで国境封鎖が続くラオスで晴耕雨読の日々を送る私が、岩竹さんの寺猫保護活動について知ったのは、岩竹さんがfacebookに投稿した愛らしい猫ちゃんたちの写真に惹きつけられたからです。ひだまりのなか、しあわせそうにゴロゴロ地面を転がる猫たちの写真に癒やされながら、時には岩竹さんの投稿した文書に目をやるようになり、活動について知ることになりました。

岩竹さんがラオスに移住したのは10年ほど前、現在、ラオス人の夫と二人、市中心部で「YOKOHAMA」という日本料理店を経営して暮らしていらっしゃいます。そんな岩竹さんがお寺に捨てられた猫を保護する活動を始めたのは2018年10月ごろ。お寺に暮らす捨て猫たちが、食べるものに不足し争奪戦で傷つけ合い、風邪やウイルスの蔓延で命を落としている実態を知ったことがきっかけのようです。一見、平和で居心地の良い場所に見えるお寺が、捨て猫たちにとっては、弱肉強食の修羅場と化していた過酷な現状を知り、放っておけなくなってしまったのです。

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捨て猫保護活動の具体的な内容とは

日本食料理店を経営する岩竹さんは、食材の仕入れ、従業員の管理、料理のチェックにお客様の接待と、朝から晩まで忙しく働いています。忙しい仕事の合間の時間を縫って、2つのお寺を周り、猫に餌をあげたり体調を確認したりして、またお店に戻って夜の営業の準備をする。こんな生活が始まって、はや3年、雨季のスコールで道路がドロ沼と化しても、旅行シーズンでお店が忙しくても、毎日欠かさず捨て猫たちの世話をし続けています。

岩竹さんの捨て猫保護活動は、お腹を空かした可愛そうな捨て猫たちに餌をあげることにとどまりません。より根本的な問題解決をはかるため、お寺で保護する捨て猫たちには必ず避妊・去勢手術を行います。また、なるべく早い段階で、ワクチンを与えてぎょう虫やノミ・ダニの駆除を行います。そして、SNSなどで呼びかけて、捨て猫を引き取ってくれる人や、捨て猫のエサ代・ワクチン代を寄付してくれる里親を募集することも定期的に行っているようです。

こうした岩竹さんの捨て猫保護活動は、基本は個人で、時としてラオス人の篤志家や、お寺の僧侶・地域の住民との緩やかな連携の中で進められています。お寺や地域住民から連絡を受けて、病気や怪我でひどい状態で発見された犬や猫を、犬猫病院に連れていき、手当をしたり、薬を与えたりといったこともしばしばあるようです。

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捨て猫保護活動を通して見えてくるラオスの良さ

ラオスでは、首都ビエンチャンでも、犬が道端でのんびりと寝転んでいます。それなりに車は通る道路なのに、「絶対に轢かれないから大丈夫~」と安心しきってまどろむワンちゃんたち。運転手も道端で寝転ぶ犬に腹を立てる様子もなく、器用に避けて走り去っていきます。

ラオスで最もポピュラーな外食産業シンダート(焼肉)のお店は、多くがオープンエアになっていて、近所の犬や猫がこちらのテーブルからあちらのテーブルへと、ウロウロさまよいながら残り物を漁っています。しかし、こうした招かざる犬猫たちを、店員も客も追い払おうとしません。

温暖な気候に恵まれているラオス人は、温和でのんびりしています。また、国民のほとんどが仏教徒ということもあり、生き物の命は大事にする、無駄な殺生は避けたいと考える人が多いようです。

仏教国のラオスでは、お寺が地域のコミュニティーの中心にあります。国や行政の福利厚生が整わないラオスでは、寺院がその役割の一部を担っています。教育を受けられない貧しい家庭の子供は、出家して寺院で教育を受けることができます。また、リタイアした老人は、お寺に食べ物を持ち寄って、僧侶の食事の世話をすると同時に、自分たちも近所の老人たちと噂話に花を咲かせ、何時間もお寺でのんびりとおしゃべりを楽しみます。

地域で暮らす住民の中でも、裕福な家庭はより多くお布施をしたり寄進をして功徳を積み、良い評判を得る。貧しい家庭の子どもや寂しい老人は、寺院で学んだり、人と交流する場を得る。ラオスのお寺は富の再分配や教育支援、老人福祉を緩やかなルールのなかで実現させている場所でもあります。

ラオスで行き場を失った犬や猫は、おおらかな住民や徳のある僧侶によって、この寺院を中心とした地域の相互扶助システムの末端に位置し、雨露を避けられる住処と、余った食べ物を得ているのです。同じ経済水準の国と比較した場合、ラオスの捨て猫にはお寺という受け皿があるだけ、まだましなのかもしれません。

捨て猫保護活動を通して見えてくるラオスの闇の部分

私がラオス人の夫と結婚して、子どもを授かり、出産、育児、教育、大学進学の過程で悩まされたのが、夫の「大丈夫精神」です。自分がどうにかするから大丈夫、心配しないで、という意味の大丈夫精神ならありがたいのですが、彼らの大丈夫精神は「きっとどうにかなるから大丈夫」という他力本願スタイルの場合が多いようです。

ラオス人はストレスを抱えづらい性質の人が多く、基本的にはおおらかで、のんびりしています。しかし、こうした長所と表裏一体となっているのが無責任でいい加減という短所です。犬や猫、子どもの養育や婚姻に関しても、無責任的大丈夫精神が発揮されてしまうことが多々あるように感じます。とりあえず、誰か頼める人にお願いしてしまう、こんなことが許されているラオス人社会において、岩竹さんの活動は、大切な命を救うという尊い一面と、ラオス人の大丈夫精神を助長してしまう一面と、両面があるのかもしれません。

ラオスで捨て猫保護活動を進める難しさのひとつが、保護した捨て猫に対して避妊・去勢手術を行うことの重要性や必要性がなかなか理解されず、浸透していかないといったことです。殺生をしてはならないという仏教の教えが裏目に出ているのかもしれません。

日本では10年以上前から実施されている「さくら猫」の活動は、岩竹さんがラオスで展開する捨て猫保護活動の原点であり、目標としている活動でもあります。保護した捨て猫を協力獣医さんのもとに連れていき、不妊去勢手術をしてもらい、元の場所に戻す。不妊手術した猫は手術済みですということが他の人にもわかるように、麻酔中にみみ先を少し切る。切ったあとの耳の形が桜の花びらに似ているので、「さくらねこ」活動とよばれています。こうした活動を地道に繰り返すことによって、捨て猫の殺処分という問題を根本的に解決できます。

現段階では、ラオスでさくら猫活動を展開するのは困難です。動物愛護と不妊手術が多くのラオス人の頭の中では結びつかないからです。捨て猫を捕まえて避妊手術をするのは可愛そう、罪深いと考える人も多いし、獣医さんの生活に余裕がなければ、協力してくれるようお願いすることも難しいでしょう。

このように、古い慣習や伝統的観念に縛られるラオスでは、貧困という問題もあり、いろいろな活動が遅々として進まないことが多いようです。

捨て猫保護活動の最終目標

岩竹さんが捨て猫保護活動を通して最終的に目指しているのは、「ラオスに根強くある、子猫はお寺に捨てるという習慣を断ち切る」ことです。犬猫を飼ったら寿命を全うするまで責任と愛情をもって飼い続ける、ボロ布のように犬猫をポイ捨てしない、飼い猫が子どもを生み続けないように、不妊手術を徹底してほしい、これが、岩竹さんの切なる願いであり、捨て猫保護寺活動の最終目標です。

活動をはじめて3年の月日が経ち、捨て猫保護活動を行うお寺や周囲のエリアでは、岩竹さんの活動を認め、協力してくれる人が増えています。捨てられて傷ついたり病気になった犬や猫を見つけた人が、岩竹さんに連絡してくれるケースが増えたのは素晴らしいことです。これは、岩竹さんへの信頼であり、岩竹さんの活動に対する評価でもあります。しかし、岩竹さんが本当に望んでいる状態は、傷ついた捨て猫を見つけた人が自ら病院に連れて行ったり、ラオス人のボランティアと連携して犬の治療や飼い主を探すシステムが確立することです。犬や猫の命を根本的に長期的に守るためには、住民の意識が変わる必要があります。

ラオスの捨て猫保護活動で奮闘を続ける岩竹さんについて

岩竹さんのフェイスブックやブログから伝わってくるのは、捨て猫や捨て犬を放っておけない強い正義感と犬猫への無条件の愛情です。情の深い岩竹さんは、犬や猫が傷ついたり飢えたりしている状況を黙って見過ごすことができません。自分の生活を犠牲にしても、今目の前で苦しむ犬や猫に、反射的に手を差し伸べ、彼らの苦しみをとり除き、ぬくもりを与えずにはいられないようです。ごめん、だめだといって見捨てた犬・猫は皆無です。もう無理だよ、といいながらも、抱き寄せて、彼らの命を守り、苦しむ犬や猫たちの、最後の受け皿になっています。

岩竹さんは正直で率直な人です。愛情にあふれすぎた人、傷ついて絶望している犬猫をただただ救いたい一心で動き続けています。ラオスの暗闇の部分に怒りや悲しみを感じながらも、なんとか気持ちを沈め、妥協点を見つけ、心あるラオス人とつながり、お寺や地域の人と連携をとって活動を続けています。

ボランティアに頼る現状で救えるのはほんの一部のラッキ-な犬猫に過ぎないのかもしれません。しかし、岩竹さんの活動を通して、動物愛護や避妊・去勢に関する意識がラオスに広がり根付いていくかもしれない。ボロ雑巾のように捨てられて、絶望のなか命を失うはずだった犬や猫が、岩竹さんの行動によって、再び安全に楽しく暮らしている。そんな現実に救われた気持ちになるのはわたしだけでしょうか。

犬や猫は何千年も前から、人間と共に暮らし、人間の暮らしを守り、生活に潤いを与えてくれています。人間が子どもの命や生活に責任を持って育てるように、一旦飼い始めた犬や猫に対しても、命尽きるまで責任を持って世話をする。彼らの命を人間と同等に大切に考え、生きる権利を守る。私達一人ひとりの行動を通して、徐々にそういった世界に変わっていけばいいなと、心より願います。

岩竹さんの捨て猫保護活動関連のブログ及びフェイスブックのグループは下記の通りです。

ラオスのお寺で必死に生きる捨て猫をサポートしたい。ラオスでもさくら猫を広めたい。

ラオスのお寺で寺猫活動 Temple Cats in Laos

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