ストレッチのメリット・デメリットは?正しいやり方を知って健康的に

ストレッチには「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」がある

ストレッチという言葉を聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?

多くの人は、筋肉を伸ばす運動のことと答えるでしょう。そう、ストレッチという言葉には”伸ばす”もしくは”引っ張る”という意味があり、運動の前後に行われています。

ストレッチにはその動きと目的によって2つの種類があります。「動的ストレッチ」そして「静的ストレッチ」です。

その特徴とメリット、デメリットをきちんと理解して実践することで、トレーニングから最大限の効果を得ることができるのです。まずは、動的ストレッチと静的ストレッチの違いについてみていきましょう。

動的ストレッチとは?

 

動的ストレッチとは、運動前に行われるウォーミングアップとして行われることが多い、動きを伴うストレッチです。主に腕や足を色々な方向に伸ばし、ねじり、関節を動かすことで筋肉を伸ばして、関節の可動域を広げることが目的です。

例えば体を伸ばして動かすラジオ体操は、動的ストレッチであるといえるでしょう。筋肉を動かすことで体を温めて、運動に体を備えさせるのです。

また、スポーツ選手がトレーニングに入る前にジョギングなどをしている映像を見たことがあると思いますが、これも動的ストレッチの1つであるといえます。

まずジョギングやウォーキングで心拍数を上げて、その後に肩甲骨や股関節を動かし、伸びをすることで筋肉の柔軟性、温度を上げていくのです。国際サッカー連盟「FIFA」も、運動前のウォーミングアップに動的ストレッチを推奨しているのです。

動的ストレッチは大きく分けて2つのタイプのストレッチがあります。筋肉の収縮と伸長を繰り返し筋肉を伸ばしていくダイナミックストレッチ、そして反動の力によって筋肉を引き延ばすバリスティックストレッチです。

スポーツの現場では明確に定義されていないようですが、厳密に言うと別のストレッチなのです。

静的ストレッチとは?

静的ストレッチは英語の静的を意味するstaticを使って、スタティックストレッチと呼ばれることがあります。

その名前の通り反動をつけず、同じ姿勢で止まったまま行うストレッチのことです。体をしっかりと伸ばして、その姿勢を20秒以上維持させるのです。

運動後に行われるのはこの静的ストレッチで、運動後の筋肉をクールダウンさせ、疲労回復させるのです。運動後には体に疲労物質がたまっているのですが、これを排出する必要があります。

静的ストレッチは可動域いっぱいまで体を伸ばし、数秒間その姿勢を保ちます。これで筋肉の血流量が増えるので、老廃物を排出する流れができ、スムーズに疲労物質を外に出すことができるのです。

「動的ストレッチ」のメリット&デメリット

ダイナミックストレッチのメリットとデメリットは?

ダイナミックストレッチは、体の動きをコントロールしながら筋肉を伸ばすストレッチで、目的は主に2つあります。

  • 相反神経支配
  • 拮抗筋を収縮させる

筋肉には1つの筋肉が縮んだら反対の筋肉は緩む、という性質がありますが、これを相反神経支配と呼びます。この筋肉の性質を利用し、「緩ませたい筋肉の反対の筋肉に力を入れて、緩ませたい筋肉の力を抜く」これがダイナミックスストレッチなのです。

ダイナミックストレッチのメリットは?

  • 動きをコントロールしつつ行うので安全
  • 関節の可動域が上がる

スポーツ前に行うことで、間節の可動域がアップしますので怪我を防ぐことができますし、プレー中のパフォーマンスも向上します。

  • 筋温が上がる
  • 血流が良くなり筋肉のコリを解消

ダイナミックストレッチは血液の流れを良くし、老廃物の排出を助けてくれます。これで血液の滞りから来ていた体の不調が改善されます。

  • 交感神経が優位になる

ダイナミックストレッチのデメリットは?

  • 筋肉の動き方によっては効果が得られない

ダイナミックストレッチは筋肉の伸びをしっかりと把握しながら、1つ1つの動作を正しく行うことで、最大の効果を得られるのです。動かし方が正しくないと、惰性の動きとなってしまいます。

  • 筋肉が冷えているときに行うと攣ってしまうことがある

ダイナミックストレッチをご紹介!

ダイナミックストレッチはスポーツをやる人には、よく知られたストレッチでしょう。

しかし、スポーツをする習慣がない人には、ちょっとなじみがないかもしれません。そんな人が健康診断で運動を行うことを勧められて行うことが多いのが、ウォーキングやランニングでしょう。

こちらでは、ウォーキングやランニングの前に簡単にできるダイナミックストレッチをご紹介します。

股関節のダイナミックストレッチ①

  1. 立った状態で腰に手を置いて胸を張る
  2. 足を前後に振っていく。ももの表と裏の筋肉が伸びるのを感じながら片足ずつ行う
  3. 足を前に伸ばすときは膝を曲げないようにしながら20回行う

股関節のダイナミックストレッチ②

  1. 立って上体をまっすぐにし、腰に手を置く
  2. 足を左右に振っていく。もう一方の足の前で振るようにする
  3. 片足20回行う

股関節のダイナミックストレッチ③

  1. 立った状態から右足を後ろに伸ばす
  2. 右足を前にもってきて腿を地面と平行になるまで上げる
  3. これも20回ずつ行う

股関節のダイナミックストレッチ④

  1. を大きく広げて手を膝の上にのせる
  2. 太ももが床と平行になるように腰を落としていく
  3. 膝がつま先の上にくるように体を左右に20回動かす

股関節のダイナミックストレッチ⑤

  1. ④のストレッチの体勢で肘を膝の上にのせる
  2. 体を左右に20回揺らす

バリスティックストレッチのメリットとデメリットも知っておきたい

バリスティックストレッチも大きく体を動かすのですが、その時に反動を利用して筋肉を伸ばしていく、という特徴があります。弾みをつけて手を回したり前屈する、といった動きが含まれるのです。

バリスティックストレッチをイメージするのに助けになるのが、ラジオ体操の動き。テンポよく弾みをつけながら、反動で体を動かしていきますよね。

バリスティックストレッチのメリット

  • 関節可動域が広げることができる
  • 柔軟性を一気に行うことができる
  • スポーツ前のストレッチに向いている

動作の切り替えが求められるスポーツの前にはバリスティックストレッチを行うとパフォーマンスが向上します。

バリスティックストレッチのデメリット

  • 伸ばすことのできない筋肉がある
    ※首、お腹、背中周りの筋肉のように、可動関節に付いていない筋肉は伸ばすことができません。
  • 反動をつけすぎると筋肉を傷めたり損傷してしまう
  • 体の硬い人が行うときには十分気をつけないといけない

バリスティックストレッチをご紹介!

バリスティックストレッチを行うときには、反動をつけすぎて行うと筋肉を傷めてしまうので、安全に十分気をつけながら行うことが必要です。体や筋肉を伸ばしながらも痛く感じるところまでは伸ばさないようにするのです。

安全なバリスティックストレッチの代表はラジオ体操ですが、それ以外にできるものをご紹介します。

ふくらはぎのバリスティックストレッチ

  1. 足を前後に開いて立つ
  2. 後ろに引いた足のかかとを軽く上下させる
  3. ふくらはぎの筋肉が軽く伸びるのを感じるようにする

大胸筋のバリスティックストレッチ

  1. 立っても座っていてもOK!両腕が直線になるように肩の高さに広げる
  2. 軽く反動を付けながら前後に腕を動かす
  3. 腕の角度を変えると違う筋肉を伸ばすことができるが、腕を広げるときは常に一直線になるように広げる

「静的ストレッチ」のメリット&デメリット

静的ストレッチにはこんなメリットとデメリットとは?

静的ストレッチは、運動前に行うとパフォーマンスを低下させることがわかっています。運動の後に行う、また定期的なストレッチとして行う場合には、一定の効果が得られることがわかっています。

静的ストレッチのメリット

  • 体を柔軟にできる
    筋肉を柔軟にすることで怪我しにくくなります。
  • 血行が良くなる
    血行が良くなると、運動後の疲労や損傷を回復させてくれます。
  • リラックスできる

静的ストレッチは副交感神経が優位になりますので、入浴後、寝る前に静的ストレッチを行うことで筋肉や精神の緊張を緩和してくれるのです。

静的ストレッチのデメリット

  • 運動前に行うとパフォーマンスが低下する
    静的ストレッチをした後は、筋力、パフォーマンスが低下することがわかっています。
  • 体温が上がらない
    静的ストレッチは筋肉にかかる負担が少ないので、体温は上がらず運動前のストレッチには向いていません。
  • 副交感神経が優位になる
    副交感神経は体を休めるときに働きますので、1日の初め、運動の前に行うのには向いていません。

メリットとデメリットを比較してみると、静的ストレッチは運動をした後のクールダウン、寝る前にリラックスする目的で行うのがいいストレッチであることがわかります。

柔軟性を身に着ける静的ストレッチ

柔軟性を高めるストレッチは、毎日続けることで柔軟性を少しずつ高めていくことができます。

股関節周りのストレッチ

  1. おしりをつけて床に座った状態で膝を曲げて足の裏を合わせます。
  2. おへそを地面に近づけるような感じで、上体を少しずつ前に倒していきます。
  3. 限界まで上体を倒して、その姿勢を20秒間キープします。

肩関節周りのストレッチ

  1. 手を体の後ろで手を組みます。
  2. 後ろに組んだ手を引っ張って、上に持ち上げていきます。
  3. 肩周り、胸のあたりの筋肉が伸びているのを意識しながら、伸ばせるところまで伸ばしてこの状態を20秒保ちます。

ランニング後に行いたい静的ストレッチ

しっかりと走りこんだランニング後は下半身を中心とした静的ストレッチを行うのがおすすめです。もも、ふくらはぎのための静的ストレッチをご紹介します。

ももの前の静的ストレッチ①

  1. マットに上体を起こして足を延ばして座ります。両手は後ろで上体を支えるようにつきます。
  2. 片足を外側に向けて曲げて、この状態を20秒キープします。ももの前の筋肉が伸びているのを意識しましょう。
  3. もう片方の足も同じようにします。

ももの前の静的ストレッチ②

  1. マットに寝そべり、体を横向きにします。
  2. 上側の足を後ろに曲げて、つま先を手で押さえます。
  3. ももの前が伸びているのを感じながら、20秒間この状態を保ちましょう。もう片方の足も同じようにします。

ももの後ろのストレッチ

  1. マットに足を開いて座ります。片方の足は伸ばして、もう片方は足の付け根に付くように曲げます。
  2. 伸ばしている方の足のつま先を、両手で触るように背中を伸ばします。
  3. ももの後ろが伸びているのを感じながら、このポジションを20秒キープします。もう片方の足も同じようにします。

ふくらはぎのストレッチ

  1. 立った状態で足を前後に開きます。
  2. 後ろに引いた足のふくらはぎを、反動をつけずにゆっくりと伸ばしていきます。
  3. 限界まで伸ばしたら、この状態を20秒キープします。これを両足行います。

これ以外に、前にご紹介した股関節のストレッチも併せて行うと、筋肉痛が出にくく、ランニングの疲れが残りません。

ストレッチをおこなう際の注意点とは?

正しくやると効果の高いストレッチですが、注意点もいくつかあります。けがをしたり筋肉を傷めないためにも、以下の点に注意して行うようにしましょう。

無理に伸ばそうとしない

ストレッチをするときにやってしまいがちなのが、ストレッチから最大限の効果を得たいあまりに力を入れて伸ばしたり、痛みを感じるところまで伸ばしてしまうこと。

筋肉は無理に伸ばそうとすると、反対に縮まろうとしてしまいます。これでは、逆に筋肉や腱を傷つけてしまうことにもなりかねません。

ストレッチは筋肉が伸びていることを感じることができるところまで伸ばして、気持ちよい、心地よい程度で十分なのです。

ストレッチの間も呼吸を続ける

ストレッチを行うときに、自然と息を止めてしまっている人が多いと思います。しかしストレッチ中は呼吸を続けることが、ストレッチから最大の効果を得る鍵なのです。

息を吐いているときというのは、筋肉が緩みやすくなります。しかし息を吐いてばかりでは筋肉を伸ばそう、伸ばそうと意識しすぎて、伸ばし過ぎになってしまいます。

また、ストレッチの間呼吸を続けることで、筋肉への酸素と栄養の供給が行われるのです。

それで大切なのは、ストレッチの間も自然に、ゆったりと呼吸を続けること。

自分の目的に合ったストレッチを、正しいタイミングで行いましょう!

『ストレッチのメリット・デメリットは?正しいやり方を知って健康的に!』ということで、動的ストレッチと静的ストレッチをご紹介しました。

それぞれストレッチには目的があり、その目的に沿って行うときに最大の効果が得られることがわかりましたね。それぞれのストレッチのメリット、タイミングをきちんと理解して行っていきましょう。

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