「教育」と「育成」の違いを知って、良き指導者になるための方法

「指導」と「教育」は似ているようで実は違うもの

新人教育の中で、「指導」も「育成」も含まれていますが、実際には、どういった手段を取るかで違いが出てきます。

「指導」にしろ「育成」にしろ

本来の意味を勘違いして、頭ごなしに説教ばかりする上司の姿を、みなさんも一度は目にしたことがあるかと思います。
中には怒るだけでなく、パワハラなどの暴力を行う人までいて、実にいろんな上司・先輩がいますよね。この場合はもちろん育たないどころか逆効果ですし、「指導」も「育成」も、どちらも当てはまりません。この二つの違いを知らずに、部下や人材を育てようとしても、思うように動いてくれない、成長が見られないということが多いものです。

しかし例え意味を理解したとしても、個人的な感情ばかりを押し付けるのは、もってのほかです。教育すること自体が相手のためにするものであり、誰かと討論するためのものではありません。特別教えるのが上手でないといけないわけではありませんが、双方の内容を認識することは必要です。違いを知らないままだと浅い考えのまま、指示や答えを言葉にしてしまうものです。受け手としての部下の成長度は、上司の姿や言葉を自然に手本とし、どんな指示を受けるかによって差が出ることを覚えておきましょう。部下は意外と見ていないようでいて、しっかりとお手本である上司や先輩を見ています。彼ら彼女らの良い意味での見本として、まずは自身がきちんとした対応をするように心がけましょう。

指導と育成の違いの認識が必要!

上司にとって、部下の指導育成は部署の目標管理と並ぶ重要な任務です。他人に教えるという行為は、とても難しくて、それだけでもストレスに感じてしまう場合もあります。だからといって仕事と割り切り、思いつくままで指示を与えるのはリスクがありますし、必要以上に緊張していては部下にまでピリピリ感が伝わってしまいます。部下といっても相手は大人の社会人であり、思い通りに育ってくれるとは限りません。実にいろんな人達がいますから、個性も多種多様です。他者から教えられるのが嫌だ!という人も、たまにはいる事でしょう。

しかし、部下それぞれが持てる能力を気持ちよく発揮してもらえば、チームが一丸となって目標達成に向かって進むことができます。だからこそ、前向きに部下と向き合い、相手のことを知るのも必要なのです。企業のため、そして誰よりも部下本人のために、役に立つ優秀な人材になってほしいと思っているなら区別しておかなければならないことなのです。それが後輩に向けて役立つことでもあり、自分たちも後々、気持ち的に楽を得られ、会社内でも良好な人間関係を保つことができるようになります。自分が今、指導すべきなのか育成すべきなのかを正しく判断することが、重要なポイントです。そのあたりをはき違えていると、部下の信頼を損ねてしまう可能性もあります。

大事なことなので再度お伝えしますが、上司にとって、部下の指導育成は部署の目標管理と並ぶ重要な任務です。

「指導」の意味とは?

平たく言えば、指導とは、知っている人が知らない人に教える、できる人ができない人に教える指導法です。まさに、教えて育てる、ということになります。言ってみれば「自分が持っている知識、技術、経験などを相手に伝えること」と定義することができるでしょう。知識がたくさんあればあるほど、それだけ有利とも言えます。この性質から、基本的に、コミュニケーションスタイルは、一方通行となります。そういう意味では、「育成」よりはハードルが低くなるので、気持ちが幾分か楽な印象です。

指導というのは「答えは教える側が持っている」という考えが含まれています。知識や経験の少ない部下に、主にルールやノウハウを教えます。「指導」にはなじみがあるぶん、つい部下に、気安くぞんざいな指示を出す…というような指導をしてしまいがちです。単に「教える」とは言っても、お粗末な結果をもたらすわけにはいきません。

気をつけることは、「なぜ」「なにを」「どのように」を具体的に教えるということです。人間は普段の生活で、脳で動いているのが大半です。強制的に教える事で、相手がやる気をなくす事もあるため、教えるときのアナタの態度・言い方にも気を付けてください。そして相手がちゃんと理解できているか、フィードバックをもらうようにするとさらにいいですね。そうすることによって、徐々に相手との信頼関係も深まっていきますよ◎

「指導」のメリットと限界

メリット:

  • 一度に大勢の人数を育成できる
  • やり方や価値観の統一を図ることができる
  • 速いスピードで育成できる

上記のことからわかるように、同じ指導内容を、複数名まとめて伝えることが可能なのです。
こうした特徴から、「指導」すべき場面は、たとえば、次のようなときになります。

適した場面:

  • 誰にでも共通した、基本的な知識を教えるとき
  • 社内のルールを徹底させるとき
  • 緊急性が高いとき
  • コンプライアンスを遵守させるとき

指導は、情報伝達という一方通行な手法なので、ある意味シンプルです。同時に大勢の相手に同じ内容を学ばせることに優れています。

また、基本知識やコンプライアンス、社内ルールというように、正解が明らかなことや、すでに実証されている方法を伝達する場合、教えられる側が考えたり、思考錯誤する時間を最低限に抑え、お互いにとっても、組織全体にとっても、生産性が高まると言えます。実に合理的且つ、わかりやすい育て方なのです。そして、緊急性が高い場合など、スピードを求められる時にも有効です。

限界:

  • 教える側の知識や経験に左右される

→教える側が持っていること以上を伝えたり、引き出したりできない。(ここで無理をすると「知ったかぶり」だと思われてしまう恐れがあります。部下から知らない情報について質問されたときは、頑張って自己流に話そうとしないようにしましょう)

  • 教えられる人の個性は活かされない

→教える側と違うタイプの人にとっては、役に立たなかったり、苦痛や労力を伴う場合がある。(合う合わないは誰にでもあるので、割り切った考えをしないといけない事もあります。長期にわたって、どの部下にも全く伝わらないようであれれば、現状は自分以外に適した人物に託すことが必要な場合もあります)

  • 教えられる側を受け身にさせる

→成功しても自信につながりにくく、失敗した場合は責任転嫁する場合がある(個人的な感情を受け入れられる事はないため、感情で動くタイプの人間にとっては不向きなシステムです)

また、一方通行というコミュニケーションスタイルゆえに、「本人の中にあるもの(「ビジョン」「やりたいこと」「価値観」「リソース」など)」を引き出すことには、指導は向いていません。つまり、部下と上司の相性が、大きく絡んでくるということになります。

「育成」の意味とは?

そもそも育成とは、相手を「やる気にさせること」に意味があるのです。相手を成功させてあげれば、仕事面で輝かせることにも繋がります。困難に対しても、勇気を持ってチャレンジしていく自立型姿勢を身に付けさせることが重要です。自ら「やりたい!」と思わせたり、教える前から部下本人が進んで動くようになれば、ほぼ成功に近づくと思っても過言ではありません。

そこで肝心なのは、先ず上司である自分が、相手の見本になることです。指導は教えることですが、育成は見せることです。後輩たちは、先輩方の背中を常に追っています。上司であるアナタが、いかに後輩たちへ良い刺激を与えてあげられるかどうかに、全てが掛かっています。

組織に貢献する部下を育成するためには、いくつかのコツがあります。これらを覚えれば、部下だけでなく上司共々、二人三脚の形で成長していけるはずです。働くだけの部下から組織に貢献する部下を育てるために、必要なポイントをみていきましょう。以下にて、詳細を一つづつ説明していきます。

「育成」のメリットと限界

メリット:

  • 相手の考える力を育て、自発性や応用力、再現性を高められる
  • 相手の可能性を引き出すことができる
  • 相手の個性や経験を活かすことができる
  • 相手の学習力自体を上げることができる

全てのメリットに言える事ですが、自らの行動力を高める事が共通していますね。こうした特徴から、「育成」が適しているのは、たとえば、次のようなときになります。

適した場面:

  • 本人の中にしかない情報やリソースにアクセスしたいとき
  • ヒントや答えを見つけるプロセスを学習させたいとき
  • 目先の答えだけを与えたくないとき
  • 自発的な行動を促したいとき

具体的には、キャリアビジョンを考える、目標設定をするといった場面が当てはまります。何かを指示しなくても、部下本人が進んで仕事を覚えようと動いたり、言われる前から仕事に打ち込んだり。部下自らが成長をしようと活動的になり、それを目の当たりにした周囲の人々にも良い影響を与えて、活気が出てきます。

また、新たな役職や役割を得たとき、それをいち早くこなすことをサポートする手段としてのコーチングも有効です。「育成」をする際、経験のあるから上司から見ると、部下自身には見えていないことも見えるので、ついついそれを教えたくなることがあるかもしれません。

しかし、「育成」で向き合うと決めたのなら、押しつけは禁物です。(ただし、視点を提供するサポートとして、本人に聞きたいかどうかを確認してから、1つの視点として伝えるのはよいでしょう。)

相手に自ら気づいてもらうことで、自発的な行動を促していくのが「育成」です。最終的に答えが同じような場合でも、与えられた答えなのか、自分の内側から導き出された答えなのかで、意味合いが異なってきますし、本人の取り組みやコミットメントに大きな差が生まれます。

限界:

  • ある程度の時間がかかる
  • 一度に大勢を育成するのは難しい
  • 方法や価値観が多様化するので、対応やマネジメントが複雑になる
  • 相手に全く知識や経験がないとき

基本的に、緊急事態などスピード最優先のときには、「育成」はあまり向かないと言えます。ただ、初めは時間や労力がかかったとしても、結果的に、多様性や主体性が育ち、最終的にはスピードアップや高い成果に結びつく可能性が高いことにも目を向けておくといいでしょう。

注意したいのが、相手に全く知識や経験がないときです。このとき、無理に「育成」しても、何も出てきません。むしろ、相手は苦しさや反発を感じたり、自信を失ったりしかねません。相手にある程度の知識や体験、もしくは想像力でカバーできるような疑似体験があるかを見極めてから、「育成」を用いる必要があります。

①指示待ちではなく、自ら考える部下を育成する

仕事には必ずしも明確な答えがありません。上司も人間なので完璧ではありませんから、部下の方が良いアイデアを持っているという場合もあります。このため組織が発展するためには、部下の能力を引き出すことが重要です。そのためには、できるだけ部下に考えさせるようにしましょう。部下が先輩を尊敬するのは良いのですが、言われたことだけしかできないのは困る事ですし、ただ指示に従っているだけだと、それでは成長することができません。部下に、何でもかんでも依存させないことも重要です。

ただし、どうしても部下がわからなければ、ヒントを与えることも有効といえます。部下が仕事を率先して動くことで、それが上司からしてみたら結果的に業務改善へとつながるはずですし、お互いの関係も向上していきます。

②部下が成長できる仕事を与える

部下を育てるためには、仕事の仕分けも重要です。仕事能率を高めるために、部下にとって何が得意なのかを見極めて、それぞれに適した仕事内容を与えてあげるのも一種の教育手段です。反対に敢えて、部下が不得意なジャンルを振り分ける事で、苦手克服を図るのも教育としてはアリです。上司には、部下の成長に資する仕事を与えることが求められます。仕事を与える際には、部下に任せる理由と、達成すべき基準を示しましょう。

部下ができる仕事が増えるたびに、上司の仕事は必然的に楽になり、より上位の仕事にチャレンジできるようになります。そして、そのチャレンジ精神が徐々に楽しさへと変化していき、いずれは仕事への熱心さが表れてきます。

③失敗事例は組織知として共有する

最短距離で部下を育成するためには、無駄な失敗はさせないことが大切です。新人であるうちは失敗が多くて当然とも言いますが、それは成長のために必要な失敗の場合に使われる言葉です。誰が見ても“無意味なミス”は、無いに越した事はありませんし、何よりも大きなミスをしたときの後処理作業は、他の社員にも多大な迷惑をかけるので大変つらいものがあります。そうならないために、失敗事例を組織知として情報を共有しておきましょう。組織知として失敗談を共有化することで、部下は自らが失敗することなくして失敗から学ぶことができ、能力向上につながります。

また、組織として同じ失敗を繰り返さなくて済むこともメリットといえます。同じ失敗は二度と繰り返さない。それを伝える事も意味しています。

④チェックやフォローアップは万全に

部下に任せた仕事は部下が主体となって行うようにすることで、成長を促すことができます。上司が気を付けるべきことは、放置しないことです。やり方と流れなどを一通り教えたうえで、最後まで面倒は見るようにしてください。定期的に報告させることによって、間違った方向に進んでいないかチェックする必要ができます。もし失敗に向かっているような場合は、上司が介入しなければなりません。その場合は、余計な作業が増えて、混乱を招くケースも考えられます。そのような余分作業を防止するためにも、チェックは万全に行いましょう。確認作業は、どんな業務だとしても大事なことです。

⑤失敗した時こそ、部下が伸びるチャンス

部下が失敗した時は、こう思ってください。むしろ「部下が伸びるチャンス」なのです。急激な成長時期とも言える、絶好のタイミングとも言えます。しかし、部下の失敗に上司がどう対応するかにより、部下は伸びることも委縮することもあります。ポイントは失敗理由を考えさせ、次に同じことを起こさないようにすることです。何がいけなかったのか、また失敗した理由を部下が理解できるまで説明することが大切です。部下が失敗の理由を理解していないと同じ失敗を繰り返しますから、このプロセスをおざなりにしてはいけません。そうでなければ、せっかくの成長できるはずの機会が、無意味に終わってしまうからです。

そして、どのようにしたら成功できるのか、その方法を部下に考えさせると良いでしょう。自分で考え、決めさせるのも成長過程として必要なことです。このようにすると、次のチャンスではきっと成功を収めることができるはずです。部下が仕事に熱中し、仕事を好きになる日は、そう遠くありませんよ。

「指導」と「教育」は使い分けることが大切

教えるという行為が上手な人は、人間関係を築くことにも長けています。その人達をよく観察してみるとわかると思いますが、指導者として適している人たちは皆、部下から憎まれることがなく、どんな人からも厚い信頼を受けていますよね。指導者としての信頼を受けたいと思うなら、上司である自分が相手のことを考えるのが重要になってきます。

まずは、場面やケースを見極めながら、適宜、「指導」を「育成」に置きかえたり、「指導」と「育成」のそれぞれ良いところを、かいつまんで合わせて使えるようになれば、育成の質や効果を高めていくことができるはずです。部下それぞれのタイプに合った内容を考えること、まさにケースバイケースということです。

たとえば、先ほど「指導」のメリットのところで扱ったコンプライアンス遵守などの場面。基本的には「指導」が向いているケースですが、もしそのとき、「こうすべき」「これが正しい」と指導されるだけではなく、加えて「どうしてこれが重要だと思うか?」「具体的にはどのような行動になるか?」と問いかけたり行動を促せられれば、遵守しようという意志や行動への意欲が高まります。指導でありながらも誘導することができ、与える言葉だけで相手を育てて、成功に導くことができます。このように、1つのケースに2つの手法を補完的に使うことが効果的な場合もあります。

一方で、「指導」、「育成」どちらの手法かにかかわらず、場面や状況に適切でない手法を用いることで、効果が上がらないばかりか、かえって不満や不信を生みかねないことにも十分注意しておく必要があります。間違っても、相手から嫌われるような指導の仕方は極力避けて、言葉には細心の注意を払うように心がけてあげてください。

大切なのは、「指導」、「育成」、それぞれのメリットと限界を念頭に、目の前の相手の状況やケースを見極め、
最も効果的と思われる関わりを毎回「選ぶ」ということなのです。「教育」は文字通りに、教えて育てることを目的としていますが、「育成」は育て上げて、何かを成し遂げさせることを目標にしているところがあります。意味そのもので言えば、「育成」の方がスケールが大きいと言えます。

部下に合った方法を知り、良き指導者を目指しましょう

「教育」と「育成」について、違いは理解できましたか?「教えて育てる」と書いて教育。「育てて成長・成功させる」と書いて育成。どちらも育てるという単語がある事から、その内容も安易なものではなく、部下も上司も、両者ともに歩み寄る努力をする必要性は出てきます。決して、「育成」だけが万能というわけではありません。知識や経験が少ない相手に対する基本的な教育指導や緊急事態には「指導」が機能し、日頃の人間関係づくりや信頼関係の構築には「育成」の時のコミュニケーションが機能します。双方の違いをよく理解したうえで、よき指導者として自身の成長も図りましょう。

相手や組織の状況に合わせて「指導」と「育成」の両方のメリットを臨機応変に活用することで、人と組織が成長し、目標達成に向けて動きだします。それが本来、組織というものです。双方を上手に操り、部下との関係性を良く保ちましょう。自分はもちろんのこと、相手も感情のある人間なのだということを忘れないようにしてください。それができるようになれば、会社が良い方向へ動くピースとして、右肩上がりの傾になります。

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