「老後難民」の実例とならないために考えておくべきマネープラン

そもそも「老後難民」とは?

経済的な問題だけが「老後難民」の理由ではない

「老後難民」や「老後破産」、あるいは「下流老人」なんていう言葉が、今ではすっかり聞き慣れたものになってしまいました。あまり想像したくない未来ではありますが、決してひとごととはいえないのが今の世の中の怖いところです。

一般的には老後難民とは、定年退職などして仕事を辞めた後に、悠々自適の老後を過ごすはずが、なんらかの理由によって、経済的困難に陥ってしまう老人のことを指します。

その原因は、離婚やパートナーとの死別、子どもの就職失敗、本人の病気など、実にさまざまです。身近にもそういった実例がある、という方もいらっしゃるかもしれません。

更に、実は老後難民とは、決して経済的な困窮者だけを表す言葉ではないのです。家族や親族とのつながりが長年絶たれている、あるいは頼れる友人や知人が一人もいないといった人や、地域社会との交流が全くないといった、人とのコミュニケーションをとる機会がなく、社会において完全に孤立してしまっている高齢者のことをも含むのです。

ここでは、どんな人が老後難民になりやすいのか、将来、老後難民にならないで済むためには今からいったい何をしたらよいのかを、実例を交えながらみていきたいと思います。

老後難民になってしまいやすい人の特徴

では実際に、老後難民になってしまう人にはどんな特徴があるのでしょうか。今は働いていて家族と同居しているから大丈夫、と思っている人でも、将来のことは誰にもわかりません。

以下の実例に自分が当てはまっていないかを、よくチェックしてみてください。

老後難民になりやすい人の特徴:悩みを一人で抱えがち

人に悩みを打ち明けたり、弱音を吐くのが苦手という人は、将来、生活に困窮してもなかなかSOSを出せないので要注意が必要かもしれません。

愚痴を言ったり、自分の弱ったところを見せるのは恥ずかしいことと考えていたり、人に素直に助けを求められないという人は、それはある面ではとてもカッコいい立派な生き方といえるのですが、それが裏目に出てしまうと、本当に困った時になかなか周囲に相談できず、ぎりぎりのところまで一人でなんとかしてしようとしてしまうので、行政支援などのサポートがなかなか届きにくくなってしまい、老後難民となってしまう可能性があります。

実例としては、子どもがいる人でも、迷惑をかけられないといった思いから困窮していることを相談できず、行政が介入して初めて、家族がその現状を知るということが多いのです。

人に弱いところをみせるというのは決して恥ずかしいことでも、迷惑なことでもなく、自分が生きていくためには、時には必要なことなのだと考えてみることも大切かもしれません。

老後難民になりやすい人の特徴:生活保護などの行政支援を受けるのを恥だと思っている

上のパターンとも近いのですが、生活保護などの行政支援を受けるのは恥ずかしいこと、後ろめたいことだと考えている人も、やはり注意が必要かもしれません。

以前はやや抵抗のあったことかもしれませんが、生活保護や失業手当などの行政サービスを受けることは、幸か不幸か、今ではごくあたりまえのことになりつつあります。

それは今まで納税してきた国民として当然の権利であり、恥ずかしいことでもなければ、決して後ろめたいことでもなんでもないのです。

「働くもの食うべからず」とよく言われますが、これは本来、貴族など特権階級の人たちに向けていわれた言葉であって、病気やケガ、突然の失業など、理由があって働けない人に向けていわれる言葉ではないそうです。

残念ながら、今の日本は決して好景気とはいえない状況ですので、もしも自分が経済的に追い詰められてしまった場合などには、決してためらうことなく、行政サービスなどを堂々と利用するようにしましょう。それが、老後難民とならないための重要なポイントなのです。

老後難民になりやすい人の特徴:友達がいない、もしくは極端に少ない

社会人になって、学生時代の友人たちと次第に疎遠になってしまったという経験を持つ人も多いのではないでしょうか。

特に女性は、結婚や出産、パートナーの異動にともなう引っ越しなどで、友人関係が大きく変化しやすいものです。学生時代とは違って多忙な毎日、ひんぱんに会う友人が減ってしまうのは、残念ながら誰にとっても不思議なことではありませんが、今の時点で、悩み事などを気軽に相談できる友人がいないという人は、将来の老後難民候補に入ってしまうかもしれません。

一方、男性の場合、仕事を辞めてしまうと今まで生活していた社会から突然別世界へと放り出され、一気に孤独に陥ってしまう人が少なくありません。そのため、趣味や習い事、友達との集まりにと、忙しく出かけていく奥さんのあとをついてまわり、かつては「ぬれ落ち葉族」なんて悲しい名前を付けられてしまったこともありました。

それくらい男性というのは、会社を辞めてしまうと人間関係を築きづらいということの実例のひとつです。今は仕事に邁進して充実しているという人でも、会社を辞めたあとのことを少し想像してみて、今から趣味をみつけるなどの準備を始めるといいかもしれませんね。

老後難民になりやすい人の特徴:貯金がほとんどできていない

今の時点で貯金がほとんどできていないという人は、やはり将来に向けて要注意が必要といえるでしょう。

一般的に、退職後に必要なお金は1000万円とも、3000万円ともいわれます。もちろん厚生年金に加入していたのか、それとも国民年金だったのか、あるいは旦那さんの扶養に入っていたのかなど、各々でかなり年金額には違いがでてきますので、将来いくら必要になるのかは、一概に言うことは難しいでしょう。

持ち家がある人と、そうでない人でも、必要になる金額は大きく変わってきますので、ざっくりとでも、自分が老後いくら必要になりそうなのか、今から計算して把握しておくことが、まずは何より大切です。

そのうえで、今ほとんど貯金がないという人は、黄信号が灯っているかもしれません。また、貯金があって年金額も把握しているから大丈夫かというと、残念ながらそうとは言いにくいのが現実です。

実例をあげますと、順調に住宅ローンも返し終わり、さあこれからは夫婦だけでのんびり暮らそうと思っていたはずが、子どもが就職に失敗しそのまま引きこもりになってしまった。あるいは、就職できたはいいがブラック企業で頑張りすぎてうつ病になってしまった、となると、定年後もまた、子どものために何かしら仕事をしないとやっていけない、というケースが今はとても増えています。

予想外の出費に備えるのは至難の業ですが、こういった実例をふまえて、余裕のある将来計画を練っておくことが大切でしょう。

老後難民にならないために今するべき事は?

では、将来、老後難民にならないためには、いったいどうしたら良いのでしょうか。

まず、第一には人とのつながりを維持しておくということが大切でしょう。利害関係などいっさいなしに、日常のちょっとしたことを話せる友人を持っていることは、老後とても大きな支えになってくれます。

女性は比較的こういったコミュニケーションに長けているので、あまり心配いらないケースが多いのですが、男性は会社生活から抜け出してしまうと、気づいたら話をできる相手が家族しかいなかった、というパターンが多いので、この点には特に注意が必要かもしれません。

次に、健康管理がやはり非常に大切なファクターとなってきます。

実例をあげてみましょう。現役時代、バリバリと働いて家庭のことは奥さんまかせだったAさん。老後資金も順調に貯まり、年金と合わせれば将来、子どもたちに迷惑をかけることもないだろう、というめどがついていました。

そしてめでたく定年退職の日を迎え、これから奥さんと二人で旅行でもしてのんびり過ごそう、と思っていた矢先、なんと悪性の腫瘍が発見されてしまいました。保険には入っていたものの、対象外の治療や病院通いのための交通費など、想定外の出費がかさみ、ついには奥さんがパートに出るほどに困窮してしまいました。

もちろん毎年健康診断を受けていても発見できない病気もありますが、やはり豊かな老後は、健康な心身があってこそ。若くて体力のあるうちはなかなか意識できないものですが、日ごろからバランスのとれた食事や、適度な運動を心がけて、定年後も元気で過ごせるように、少しずつでも生活改善を心がけるようにしましょう。

事前にきちんと把握して、備えを作る

将来、老後難民にならないためには、退職後、年金受給までに生活費がいくらくらいになるのか、また、実際自分が年金でいくらもらえるのかなどを、事前にきちんと把握して、備えを作っておくことが大切です。予想外の出費などにあわてることのないよう、余裕のある計画作りが必要でしょう。

これもまた実例です。40歳目前で、夢のマイホームを手にいれたBさん。低金利や増税前というタイミングに背中を押されるかたちで、頭金ほとんどなしの状態で35年ローンを組みました。

当時は共働きだった奥さんと二人、繰り上げ返済をする計画でしたが、その後、子どもたちの教育費が予想外に負担となり、更に順調なベースアップを期待していたBさん自身がなんとリストラの対象に。

なんとか再就職できたものの、給料は前職よりも2割減。更に不景気が追い打ちをかけ、繰り上げ返済など夢のまた夢…となってしまいました。

このままでは奥さんと二人、70歳を過ぎても働きつづけなければ、家を手放すことになってしまいかねない状況です。

こういった実例は、実は今も増え続けていて、悲しいことでありますが、実際に競売にかけられる家というのが急増しているのです。

また、マイホームを手に入れたとしても、当然定期的なリフォームなどが必要となってきます。子供たちが巣立って、広すぎる家を持て余して売りたいと思っても、なかなか買い手がつかないという実例も数多くあります。

マイホームを持つことは、多くの人の夢ですが、返済計画に無理がないか、将来終の棲家とするのかしないのかなど、シビアに見極めることが必要でしょう。

老後難民にならないために考えておくべきマネープラン

老後難民となってしまいかねない実例をいくつかみてきましたが、ではいったいどうしたら、こういった事態を防ぐことができるのでしょうか?

まず何よりも最初にすべきことは、自分が将来、いったいどれだけの年金をもらうことができるのかを確認することです。それによって、今から準備するべき貯金の額もめどが立ちます。

年金額の確認をするには主に二通りの方法があります。ひとつは、毎年贈られてくるねんきん定期便を確認すること。

年金を納めている人になら、毎年1回必ず、誕生日月に「ねんきん定期便」が送られてきているはずです。送り主は日本年金機構となっています。年金額がわからなくて不安という人は、中身をきちんと確認せずにしまい込んでいたり、あるいはよくわからないまま捨ててしまっていたりはしないでしょうか。

もしくは、ねんきんネットというウェブサイトでも、ねんきん定期便と同じ内容をいつでも確認することができます。基礎年金番号がわかるもの(青色の年金手帳、基礎年金番号通知書など)を手元に用意し、ねんきん定期便に記載されているアクセスキー(17ケタの数字)を使って「ねんきんネット」に登録すれば、すぐに利用することができます。

このように、自分が将来いくら年金をもらえるのかをきちんと理解しておくことが、老後難民にならないための、最初の一歩といえるでしょう。

次に、あまり夢のない話になってしまうかもしれませんが、元気なうちはできるだけ長く働きつづけることがやはり重要になってきます。

かつてのように60歳もしくは65歳で退職して、そのあとは旅行に趣味に、悠々自適に過ごす老後というのは、残念ながら今の日本では、相当限られた人だけの将来像といえるでしょう。

平均寿命が伸び続ける今、仮に90歳まで生きるとすると、30年から40年という実に現役時代に匹敵する長さの時間、年金で暮らし続けることになります。もちろん、生活に困らないくらいの年金額がもらえれば良いのですが、高齢化社会を突き進む今の日本で、それはあまり期待のできないことです。

そんな時代を生き抜くためには、やはり少しでも長く、元気に働きつづけることが必要となってくるでしょう。

少しでもいいので将来に備えた貯金を始めておく

そして今から、少しでもいいので将来に備えた貯金を始めておくこと。単純計算ですが、たとえば相当切り詰めた生活をしても、やはり一般的に考えて、年間200万円の生活費が必要になってくるでしょう。

そう考えると、もし年金をあてにしなかった場合、たとえ1000万円の貯金があっても、たった5年で使い果たしてしまうことになります。年間200万円という、非常に質素な生活でさえ、たった5年です。

仮に3000万円あったとしても、15年。65歳で退職したとして、80歳の時点で全財産がなくなってしまうのです。そう考えると、3000万円というのがいかにこころもとない金額か、と思ってしまいますよね。

今からそんな大金を貯めるのなんて絶対無理!とあきらめてしまいそうになりますが、そんな時こそ、投資について学ぶことが必要になってくるのです。

投資信託の種類にもよりますが、基本的に投資信託は分配金を投資元本に充当することで複利効果が期待できます。つまり、投資によって出た利益を使ってしまうのではなく、それをまた投資に回すことで、倍々ゲームのように資産が増えてゆくのです。

もちろんリスクはありますし、みるみるうちにお金が増える、といったことはありませんが、ほとんどゼロに近い金利で貯金が増えることの望めない今、食わず嫌いせずに、投資やお金について学んでみることが、これからの時代は必要になってくるでしょう。

老後難民にならないよう、しっかりと対策をしましょう

以上、老後難民になりやすい人、また、老後難民にならないために、今からすべきことなどを、実例をふまえながら見てきました。

少子高齢化が進み、経済も決して好調とはいえない今の時代、将来をきちんと見据え、今からコツコツと備えを作っておくことが大切です。

老後難民にならないためには、自分の健康や、今ある友人関係を大切にした上で、年金額や将来の生活費をきちんと把握することが重要な最初のステップです。

上記の実例を参考にしながら、老後難民にならないよう、少しずつでもその目標金額に向けて準備を進め、安心して過ごせる素敵な老後を迎えましょう!

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