暑がりになるのは更年期の症状?原因や対処方法について

更年期になると暑がりになってしまう理由とは

友人と会話中、家族と団欒中など、今までだったら何てことない普通の時間に、突然体が熱くなり、汗がドッと出る。そんな経験したことはありませんか?

夜間も大量の汗で目覚めたり、周りが寒がっていても、いつ体が熱くなるかわからないから自分だけ薄着をしていることも増えたりします。

更年期の症状とはわかっているものの、なぜこのような症状は現れるのでしょうか。

更年期になると暑がりになってしまう理由①ホルモンの減少

「ホットフラッシュ」と呼ばれる更年期の代表的な症状は、突然上半身や顔が熱くなったり、大量の汗が出たりすることを言います。

ホットフラッシュが出る頻度や、暑さを感じる度合いには個人差があり、長い人で7~8年くらい、通常は閉経後5年ほどでしだいに治まります。

上半身や顔が熱くなるホットフラッシュに対して、更年期には顔は熱くほてっているのに手足は冷たいという「冷えのぼせ」の症状が現れる人もいます。

冷え症は更年期でなくても、女性によくみられる症状ですが、更年期の場合の冷えには、ほてりやのぼせが一緒に現れ、加えて血の巡りが悪くなっていることで頭痛や腹痛なども一緒に引き起こします。

これらの原因は、卵巣ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が減少して、脳の視床下部が刺激され、自律神経に影響が出ることが原因と言われています。

更年期になると暑がりになってしまう理由②自律神経の乱れ

自律神経は、血管を収縮したり拡張させることで体温を調節しています。ところが、その働きがスムーズでないと、体温の調節がうまくいかなくなります。

普段は心地よいと感じている気温なのに「暑い」と感じてしまい、体に溜まった熱を放出する命令が脳に送られます。すると、血管が一時的に拡張して動悸が起こります。

エストロゲン(卵胞ホルモン)の減少によって自律神経が乱れると、体温調整ができなくなりホットフラッシュや冷えのぼせを引き起こすのです。

冷えのぼせも、自律神経の働きが乱れることで起こります。自律神経の働きが乱れると、末梢の血管が急激に収縮し、手足の血行が悪くなっているのに、首から上の血管は拡張して、顔がのぼせるのです。

もともと冷え症の人ほど、ホットフラッシュや冷えのぼせになりやすい傾向があるので、日頃から冷え対策を心がけるとよいでしょう。これらの症状は個人差が大きく、環境やストレスにより、症状がひどくなる場合もあります。

このような症状が現れたら注意!

更年期の時期は、人前に出ることで緊張している時などに、急に顔や頭に大汗をかいたりします。普段は気にならない場面でも、何らかの原因が引き金となって、暑さを伴う症状が現れます。

更年期に感じる暑さの特徴的な症状をご紹介します。

更年期に感じる暑さの特徴的な症状①ホットフラッシュ

突然身体がカーっと熱くなったり、急に顔が火照って赤くなったり、ドキドキと鼓動が止まらない。涼しいのに、なぜか汗が流れる。

更年期の代表的な症状といえばホットフラッシュと言われています。

閉経前から症状を感じることが多くなり、女性の6割程度が経験するといわれ、そのうち日常生活に支障を及ぼすほど重症になるのは1割程度だそうです。

ホットフラッシュの症状は、数分の間じわじわと体が熱くなって汗をかくのを感じ、脈拍が増加します。ほてりや発汗は顔面から始まり頭部や胸部に及ぶ人もいれば、顔面のほてりだけ、発汗だけの場合もあります。

更年期に感じる暑さの特徴的な症状②寝汗

汗をかくような季節ではないのに寝汗をかき、目覚めると、寝間着やシーツが汗で濡れている。寝汗がひどくてよく眠れない、夜中に暑くて目が覚める。

これらの症状も血管運動神経症状の1つで、更年期の代表的な症状です。

体が熱くなるホットフラッシュは、目覚めている昼間だけではなく、夜間眠っている間も同じように起こるため、睡眠時にほてりや発汗が起こります。

就寝中に起こった場合、何度も目覚めてしまい、ひどい場合は睡眠障害となるおそれもあります。他の病気の可能性もありますので、あまりにひどい場合は婦人科を受診することをお勧めします。

更年期に感じる暑さの特徴的な症状③冷えのぼせ

顔は熱くほてっているのに手足は冷たいという「冷えのぼせ」の症状が現れる人もいます。冷え症は、女性なら若い頃から冷えに悩まされる人も多いので、そのまま放置している方も多いかもしれません。

更年期の冷え症には、手足が冷たいだけでなくほてりやのぼせを伴うことが特徴です。

もともと手足の冷たい人は血の巡りが悪い場合がほとんどなので、これに更年期が重なると、冷えに加えて腹痛や頭痛を併発する場合もあります。

更年期の暑がりはどのように対処すればいい?

一般的に締め切った室内や、電車の中などいつ出るかわからないホットフラッシュに怯えて、外へ出るのが億劫になったり、人と会うのが怖くなったり。更年期のひどい症状の場合、それまで普通にできていたことができなくなる場合もあります。

でも心配しないで。今ではホットフラッシュの対処法などもたくさん出ています。ひとりで悩まず、周りの知恵を参考にしてみましょう。少しだけ気持ちが前向きになりますよ。

更年期の暑がりの対処法:寝汗の場合

とにかく寝る前にはリラックスすることを心がけましょう。体が疲れていれば、熟睡できるものです。適度な運動や軽いストレッチなどをして体の巡りを良くするのも効果的です。

リラックスのためには、お気に入りの音楽を聴いたり、好きな香りのアロマオイルを炊くのも良いでしょう。これらが緊張をほぐし、自然な眠りに誘ってくれます。

夜中に寝汗をかいても気にならないように、吸収性の良いパジャマを着ること、タオルやベッドパッドを敷いて、汗が気にならないようにするのが良いでしょう。

更年期の暑がりの対処法:ホットフラッシュの場合

汗をかいても大丈夫なように、外出時にも通気性の良い衣類を着るようにしましょう。綿や麻、シルクなどの天然素材の方が通気性もよくおすすめです。

もしも急激な暑さに見舞われた時は、一旦席を外し、涼しい場所で休憩するのも良いでしょう。

食事に関しては、必要以上に体を熱くしてしまうような香辛料や刺激物も避けたほうが良いですね。

体が熱くなりそう!と自覚した時には、鼻からゆっくり息を吸い込みおなかをふくらませ、口からゆっくり息を吐き出す腹式呼吸を行うとリラックスできます。

またウェットティッシュや保冷剤などで首筋を冷やすのも効果的です。

更年期の暑がりの対処法:冷えのぼせの場合

ホットフラッシュを気にしていると、涼しくすることばかり考えがちですが、女性は元々冷え性の人が多いので、冷えのぼせの症状も多く見られます。

上半身は熱くても、手足が冷たいというような場合は、手袋やショール、靴下など、体を温めるアイテムを常に持っていると安心です。

冷え対策として夜はしっかり湯船につかる習慣をつけましょう。保温成分の入った入浴剤を使って、ぬるめのお湯にゆっくり浸かれば、湯上がり後も手足の温かさが続きますよ。

更年期の暑がりの対処法:記録をつけておくのも大切

更年期の症状を感じていても、まだ閉経していない場合は、ホットフラッシュがいつどんなときに起きたのかを、月経の時期とともにメモしておくと、タイミングがわかってきて対処しやすくなります。

また、病院を受診する場合にも、それらの記録を医師に見せることによって診察がスムーズに受けられます。自分の体のリズムを知るためにも、基礎体温などをつけるのも良いでしょう。

暑がりには別の病気が潜んでいる場合も

この暑さは更年期のもの。そう思い込んでいても、長く症状が続く場合、実は他の病気だったということも考えられます。

ホットフラッシュと勘違いしてしまいがちですが、暑さに加えて他の症状が出た場合は、まず内科を受診するようにしてください。

おかしいなと思ったら、内科や婦人科に早めの受診をし、早期発見を心がけましょう。

甲状腺機能亢進症

「体を元気にするホルモン」と呼ばれる甲状腺ホルモンですが、甲状腺機能に異常がない人は、血液中の甲状腺ホルモンが常に適切な量に調節されています。

しかし、甲状腺機能に異常がある人は甲状腺ホルモンの量を適切に調整することができなくなります。血液中の甲状腺ホルモンの量が多い状態を「甲状腺機能亢進症」といいます。

のぼせやほてりのほか、多汗、手の震えや動悸(どうき)などが見られることがあります。

バセドウ病

甲状腺ホルモンは、新陳代謝を活発にしたり、交感神経や心臓などの活動を高め、汗や脈拍を調節するなどの働きがあります。

この甲状腺ホルモンが過剰になるとバセドウ病と呼ばれる自己免疫疾患を発症します。女性に多いのが特徴で、特に20~40歳代の女性に多く見られます。

動悸や息切れがしたり、暑がる、汗を多量にかく、疲れやすい、イライラして落ち着かない、食欲はあるのに体重が減る、手足が震える、眼球の突出、首の腫れ、などの症状があります。

多血症

多血症とは赤血球が増え過ぎている状態のことで、赤ら顔や頭痛、めまいを伴うことがあります。赤血球が増えて血液がドロドロになり、詰まりやすくなるので、心筋梗塞や脳梗塞になる可能性もあります。

血液検査で診断ができますので、内科で相談するのが良いでしょう。

高血圧症

高血圧症には普通の高血圧症のほかに、2次性高血圧症といわれる「特別な原因のある高血圧症」が含まれています。

原因はいさまざまですが、特殊なホルモンが過剰に分泌されることにより、高血圧やのぼせの症状が出る場合があります。

正しい対策をして、症状が酷ければ病院へ行きましょう

更年期の症状の一つとしてわかっている暑さによる症状。単に暑いだけでなく、ホットフラッシュや、多汗、寝汗、冷えのぼせなどさまざまな症状が出ることがわかりました。

人前で体が熱くなり、動悸が早くなるのは予測ができず、本当に不安なものです。でも更年期を自覚し、適切な対処法を知っていれば、心構えもできますよね。

それでもどうしても症状が長引く場合は、ためらわずに病院へ行くことをおすすめします。処方された薬が効いて、あの苦しみは何だったの?と辛さが軽減することも多々あります。

誰でも通る更年期の時期をできるだけストレスなく過ごしていくためにも、必要な情報を入手し、自分に合った方法で更年期と付き合っていきたいものです。

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