更年期障害の一つに「だるさ」「きつさ」がある
最近、更年期の辛さへの理解が急激に高まってきて、更年期というワードをテレビやネットで見かけることも多くなりました。
更年期は女性なら誰もが経験する時期です。その症状の出方には個人差があり、動けなくなるくらい辛い人もいれば、何も感じないくらいの快適な状態でその時期を終える人もいます。
そもそも更年期って?
女性の更年期は卵巣機能の低下によって始まります。卵巣から分泌されている女性ホルモンは身体の中で多くの働きを担っているのですが、卵巣の機能が加齢によって低下を始めると女性ホルモンが減少し、それに伴ってさまざまな症状が出るというわけです。
女性が閉経を迎える前後5年間、ホルモンバランスが乱れ、それに身体が慣れるまでさまざまな不快な症状があらわれます。これまで出ていたホルモンが出なくなることで、身体が混乱してジタバタしてしまうのです。
でも身体がそれに慣れてしまえば症状は治まり、以前のような快適に動ける状態が戻ります。
更年期障害ってどんなもの?
更年期障害によって引き起こされる症状は具体的に以下の通りです。
【身体的影響】
- のぼせ・ほてり(ホットフラッシュ)
- 冷え性・手足が冷たい
- めまい・立ちくらみ・耳鳴り
- 頭痛・頭が重い
- だるさ・疲労感・倦怠感
- 不眠・寝つきが悪い・眠りが浅い
- 動悸・息切れ
- 肩こり・腰痛
【精神的影響】
- 気持ちが落ち込む
- やる気が出ない(無気力)
- イライラする・不安を感じる
- 憂鬱である
病院に行ってもどこも悪くないのに症状がある。
こういったものを不定愁訴と呼びますが、これら不定愁訴のすべてが症状として現れるのではなく、ひとつ~複数、どのような組み合わせで出るかには個人差があります。
更年期にきつくて動けなくなってしまう原因は?
怠けてるんじゃないんです!
更年期障害への理解が年々進み、今ではその辛さを皆が知るところになりましたが、昔、更年期への理解が低い時代は、倦怠感で苦しんでいる更年期の女性へ「怠けている」という言葉が投げかけられることが少なくありませんでした。
男尊女卑、嫁姑、等のしがらみがあったにせよ、体調が悪くて動けない相手に遣う言葉ではないですよね。
更年期の人がぐったりして動けなくなっていたら、それはだらけていたりさぼっていたりしているわけではないんです。更年期障害の不定愁訴のひとつなのです。
だるさのメカニズムを知ろう
朝から動けないほどだるい、疲労感が付きまとう、身体が重い。だけど理由が分からない。無理をして身体を動かす。その繰り返しの毎日だったら、心も壊してしまいそうですよね。
更年期障害の不定愁訴と気づけば、現代ではいくつもの対策や選択肢があります。なぜ更年期になると以前と同じように動けないのか、だるさで苦しむのか、その理由を探ってしっかり対策を取りましょう。
自律神経が混乱するから
以前のように仕事がバリバリこなせなくなってきて、仕事が終わるとぐったり、もう動けない。いや、待てよ。その症状は確か朝から感じてる…だとすれば更年期障害を疑いましょう。
更年期の疲れ、倦怠感は自律神経が大きく関与しています。更年期になって女性ホルモンが減少していくと、自律神経が不安定になります。
従来の量の女性ホルモンが出ないので、自律神経がさらに「もっと出して!」と指令をするのですが、それでもやっぱり出ない。ドンドン繰り返すうちに「なぜだ、なぜだ・・・」と自律神経がパニックになります。
すると自律神経が普段コントロールしている部分にトラブルが起こります。これが多くの不調を引き起こす原因なのです。
同時に睡眠にも影響が
慢性的な疲労感を憶えやすくなった更年期の身体は、精神的にも影響を与えてきます。やらなきゃいけないのに動けない。そんな自分が怠けているだけのように思える。真面目な人ほどその考えに陥りやすいですね。
また睡眠にも影響が出ます。人は悩みがあると眠れなくなりますが、この「なぜ私はこんなに思ったように動けないのか」という自責の念によって、もともと更年期障害のひとつである「睡眠障害」がさらにひどくなってしまうのです。
これは早く解決しなくてはいけませんね。
更年期の疲労感を軽くする方法は?
まずは自分を更年期と認めよう
まず以前と同じように動けない自分を責めてしまいがちな状況を改善しましょう。あなた自身「更年期だから、前と同じように動けないのは仕方ない」「これは一時的なもの、しばらくしたらまた元に戻る」という気持ちになることです。
真面目で一生懸命な人ほど更年期障害の症状がひどくなる傾向にあると言われます。完璧な人はいません。少し自分を甘やかすことを心がけましょう。
休息はエネルギーチャージのために必要なこと
更年期障害は常に同じ不定愁訴が起こり続けるのではなく、忘れていたころにポッとあらわれるような症状の人もいます。
日によって変化したりすると「今日の私はだらけてる」と考えがちですが、30代後半以降の女性は特に「これは更年期障害かもしれない」と疑ってください。そして、倦怠感や疲労感で動けないときは身体がきついとサインを送ってくれているのだと思い、躊躇うことなくゆっくり休みましょう。
何も心配せずちゃんと休むことが、更年期の疲労感をやわらげてくれます。
睡眠時間をしっかり確保しましょう
先程もお伝えした通り、更年期は睡眠障害が起きやすいのでしっかり眠れていないことも多いです。疲労感がとれないのはそのせいもあるのです。しっかり眠って翌朝に今日の疲労感を残さない。それが鉄則です。
寝る直前までせわしなくバタバタしたり、パソコンをにらめっこしたり、携帯を触っているのは、眠れなくなる要因になりますので、意識的に時間をかけて準備を整えて眠りに就きましょう。翌朝からまたしっかり動けるように、ゆっくり眠るよう努めてください。
更年期の疲労感を予防するには
更年期の疲労感を予防するには、規則正しい生活を
更年期の疲労感を予防するにはどうしたらいいでしょう。まずは自分の生活を見直してみることから始めます。基本的な生活リズム、例えば早寝早起きだけでなく睡眠時間の確保や3度の食事など。
振り返ってみたら、自分はこんなに身体を苛めてたんだなと思うくらい乱れている人もいるでしょう。人は気づかないうちに自分で自律神経のバランスを崩すような生活を送っているのです。
更年期の疲労感を予防するには、食べ物・飲み物に気をつけましょう
私たちの身体は私たちが食べたもので出来ているとよく言われます。この機会に、自分が口にしているものを意識してみましょう。栄養の偏った食事をしていませんか?お酒を飲み過ぎていませんか?喫煙していませんか?
更年期障害は、女性ホルモンと同じ働きをすると言われる大豆イソフラボンを摂取すると症状が軽くなることがあります。減ったホルモンを補っている状態ですね。大豆製品は納豆や豆腐、味噌など私たちの食生活にたくさんありますので積極的に摂りましょう。
また疲労回復に良いとされるビタミンB群やビタミンC、ビタミンEがたくさん含まれている食品を選びましょう。ビタミンB群はうなぎ、レバー、玄米、豚肉などに含まれていますので玄米食にしたり豚肉を使った料理のレパートリーを増やすなどで取り入れましょう。ビタミンEはナッツ類に含まれるので、おやつにナッツをつまむというのもいいでしょう。
食生活は少し気をつければ改善できるのが嬉しいですね。食事に気をつけて、毎日軽やかに動けるようになりたいものです。
更年期の疲労感を予防するには、運動はやっぱり大事
更年期に限らず運動の必要性については、皆が知るところですよね。
疲れやすいと必要以上に動かないという選択をしがちですが、実は身体を動かさずにダラダラしていると余計に疲れが取れないのです。疲れをとるためには、軽い運動、例えばウォーキングやストレッチなどを生活の中に定期的に取り入れること。
そして、良い睡眠のために1日の終わりにぬるめの温度でゆっくり入浴をすること。適度な運動の疲れと入浴効果が相まって、心地よく睡眠を誘います。
日々快適に過ごすためには、年齢とともに意識していかなければいけないポイントが増えます。運動もそのひとつ。疲れ対策だけではなく、年齢を重ねてもキビキビと動けるように今から鍛えておく、という意味でも、運動はオススメです。
更年期の疲労感を予防するには、更年期全般の対策も
更年期は女性ホルモンの現象によって引き起こされる不定愁訴の数々に悩まされますが、減少したホルモンを補充することでその症状が緩和することがあります。先程も触れた大豆イソフラボンは手軽にサプリメントや食事で補うことができますが、ちゃんと医療機関で対応してもらう方法もあります。
ホルモン補充療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)と呼ばれ、飲み薬や貼り薬などいくつも方法がありますので自分に合わせて選択できます。ただし、薬である以上副作用がありますのでお医者様と十分相談してください。
また漢方薬で心身ともにバランスを整える方法や、抗うつ剤や安定剤で精神的な面をサポートし更年期の症状を和らげることを目指した方法もあります。
こうやって更年期障害の対策を取るとおのずと疲労感や疲れ、動けないという状態も緩和されていくことがあります。
あまりに症状が酷い場合には、医療機関へ相談を
何でもかんでも更年期が原因じゃない
30代後半以降の女性は更年期による不定愁訴に悩まされることが増えますが、何でもかんでも更年期が原因ではありません。他に重大な病気が隠れていることもあります。
例えばだるさ、倦怠感、動けないなどの症状は貧血や風邪などの他に、急性肝炎や糖尿病が隠れていることもあります。心臓や呼吸器が問題の場合もあります。特に更年期を迎える女性は甲状腺が問題の場合も多くあります。
女性に多いと言われる甲状腺の病気ですが、倦怠感やだるさが症状としてあらわれるのは甲状腺ホルモンが減少してしまう「甲状腺機能低下症」。代表的なもので橋本病などがあります。
こういった病気のサインを見逃さず、なかなか改善しない、何か気になるという場合はすぐに医療機関へ相談しましょう。年齢を重ねたら、無理をせず、しかるべきところに早めに相談することが大切です。
倦怠感も疲労感もなく、軽やかに動ける毎日を送りたいですね。